【芝居】「『仮面夫婦の鑑』『リボン・ルーム』」吉田見本市
2019.7.28 19:00 [CoRich]
俳優・吉田電話と女優・中野あきによる夫婦公演と銘打った二人芝居二本立て。7月29日まで新宿眼科画廊地下。65分。「仮面夫婦~」の方は金沢や上田劇作家大会での上演も予定されています。
夫の長期出張中に無断で美容整形した妻、腹を立てた夫は仕返しに自分の顔を不細工に整形して「仮面夫婦の鑑」(作・演出 横山拓也)(1)
首に包丁が刺さった男と、後頭部が砕けた女、死んでいる二人だが、生まれ直して元の世界に戻りたいか、このまま永遠の眠りに就くか「リボン・ルーム」(作 池田美樹 / 演出 國吉咲貴)
「仮面夫婦~」は前半はすれ違いながらも歩み寄ろうとして整形して行き過ぎちゃう二人、「賢者の贈り物」を二ひねりしたようなすれ違いの物語。違和感を解消しようとしたら違和感が増える二人、整形前の美しすぎない妻が好きだった、ということに拘るあまりイケメンの夫が不細工にする行動が斜め上すぎるコミカルさが原動力。話していることは互いのいいことの認め合いなのに。
後半は実際のところ整形の問題はそれほどには関係なくて、妻が家計を支えるためにしたヌードモデルにもやもやする無職となった夫、という構図。男が養うべきというマッチョイズムゆえの負い目と、ヌードモデルにもあんまり気にしていない妻のフラット、どこか家族のありかたのすれ違いのようでもあるのです。
オープニング、クラフト袋でいわゆるイケメン俳優とそうでもないタレントの写真をかぶって出てきて整形前、という感じなるほど。この作品、今までの上演はiaku本体もハイリンドでも「~鏡」だったけど、変わったのかしら。
「リボン~」は生まれ変わりの物語。人に生まれ変わるかさえわからないという設定でもなお、すぐに戻りたいか、あるいはもう戻りたくなくて永遠のねむりにつきたいか。まあただごとじゃない状態でいわば心の準備無しに死を迎えた二人だけれど、この後どうするかの平行線。じっさいのところ互いの意見を変えさせようとしてる、という感じでもないし対立するなら自分は自分で進んでしまえばよさそうなものなのだけど、なんとも離れがたい絶妙な感情の発露、みたいなものが漂う感じがまさに「夫婦公演」らしい。
いちどはつかみ取った次の人生だけど、破って二人で走り出すというのも清々しくてちょっといい。
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