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2019.07.13

【芝居】「methods」山の手事情社

2019.6.23 18:00 [CoRich]

山の手事情社の35周年記念のイベント的位置付け、自分たちのメソッドで組み上げるアラカルト的な公演。チェーホフ原作の「過妄女(かもめ)」と組み合わせ二週にわたり公演ですが、ワタシはこちらだけ。元劇団員の清水宏がゲスト出演。100分。24日までスズナリ。

(1)清水宏が自分が居た頃の劇団を熱く語る「あの頃山の手事情社」
(2)リズム、アップ、プレイ、アクト、ムーブのバリエーション「ルパム」「ルパム歩行」
(3) まわりで見かけた無名の人々、電気屋の店員、極楽に行きたい人、子だくさんの母親「ものまね」
(4) シチュエーションを決めたフリーエチュード。「グッと来る」瞬間はどんな感じか。食事する風景のご飯粒、玄関で靴紐を結ぶときに傘を女の手にかける、運動部の先輩を応援する女にポースを決める、夜の公演できょろきょろ挙動不審、失敗した新人と一緒に収拾にあたる上司など
(5) そこに演出家めいた男が現れて、めちゃくちゃな芝居を口立てで伝えていく「」
(6) マリーアントワネットの生まれ変わりの女、婚活でちょっとウザい男、一人暮らしで部屋に戻ると「ものまね」
(7) 前半で観客から受けたお題で短編を作る「ショートストーリーズ」。 お題は「仮面ライダー、7:50、ストロベリームーン」。ボウリング場で母を看取った妹と恋人を連れてきた姉、オフィスで前向きっぽく見えるが影では悪口ばかり、浮気された女を励ます心の中の女。
(8) ルパム

清水宏の圧倒的なパワーの(1)、まさにスタンドアップコメディで熱くて、わけのわからないものであれ、という無茶振りなど狂った演出家の現場を面白おかしく。

ルパム(2)(9)と言う言葉は山の手事情社ではよく目にしていたけれど、その意味を実は初めて知った今回。美しく、いわゆるダンスとは違うけれど、ある種の幾何学的だったりちょっとしたマスゲームのような美しさ。 ものまね(3)(6)は、ほんとうにそういう人が居るかどうかよりは、「居そうか」という説得力がすべて。普通にやっても面白くはなりづらく、切実すぎても見世物にしづらく、かといって面白おかしくデフォルメしすぎると、描いている人物への敬意が失われ途端に不愉快に見えてしまったりする微妙さがあって、そのバランスがとても難しく。正直今回の中でもバランスを欠いて感じられるものも。久々に舞台で拝見した水寄真弓の当たり役、キャサリーヌは懐かしく、彼女が演じたマリー・アントワネットの生まれ変わりと信じてる女はさすがの見応えの面白さ。

フリーエチュード(4)はワタシがよく見て居た頃も時々目にしていたもので、大喜利のような瞬発力の面白さ。一種のゲームでもあるので、参加者が互いに面白がり、悔しがる素振りもふくめての楽しさ。

それから続く(5)は清水宏が口立てでセリフと演出をつけていく、一見めちゃくちゃに見えて、しかしそれ全体を通して見せる役者たちの技量。まあそれも全部作り込まれてる可能性もなくはないですが。清水宏のキチガイ演出家といえば20周年のときのjamを思い出すワタシです。「チーズのようなパンツを履いて、僕は一人」というセリフはどこかで聞いた朝日風で凛々しくかっこよく楽しい。

ショートストーリーズ(7)はお題でしばらく時間をかけてつくる、セリフの中に入っていればいいのかとかちょっとルールがゆるい感じはあるけれど楽しく。短い時間なのに、ボウリング場で母を看取った妹と恋人を連れてきた姉の落差を描く一本の見応え。

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