【芝居】「プラヌラ」Moratorium Pants(モラパン)
2019.6.15 18:00 [CoRich]
95分。6月15日が千秋楽。
大人にならなきゃと考え、カラダは元気だが水泳部をやめ学校に行けなくなった女子高生は家に引きこもり心療内科にかかっている。同級生たちは事故で泳げなくなったり、あるいはアルバイト先の大学生と恋人になっていたりと徐々にいろいろ変わりつつ。男子高校生達はまだ子供っぽい。
舞台中央にアクリルの水槽、開場時間からそこをフラフラとただよう女子高生。劇中に出てくるけれど、クラゲは大人でもプランクトンで、その幼生がタイトルのプラヌラで、漂うように生きる大人になりかけの高校生たちを描きます。
大人にならなければと焦る気持ちだけど、学校に行けないことだったり、あるいは水泳に打ち込んでいたのに事故でそれが叶わなくなるのに同級生がカラダはなんともないのに水泳を辞めてしまうことだったり、大学生の恋人ができた女子高生のちょっと背伸びした感じだったり。大人になるということはそれぞれがもつ変数が増えて生き方が分化していくということなのだなという視点。それは成長ではあるけれど、群生から一人になっていくということでもあってどこか寂しさをたたえるよう。
対して男子高校たちの描き方は、トイレに靴を落として大騒ぎという具合で少々幼い感じなのが微笑ましいし、なんかそれっぽいコントラスト。学校にいけなくなった女子高生が幼なじみの男とかつてあるいた運河で久しぶりに再会し、死んでもいいとすら考えていた瀬戸際から引き戻され、前向きに歩み始める終幕は、ごく小さいものだけれど、希望がきちんと見えるのです。
スタイリッシュで、あまりに若く眩しくて、もはやワタシには思い出せないぐらい遠い世界の話とも感じるけれど、いわゆる高校演劇で描くのとはちょっと違う視点に感じられます。ジュブナイルよりは少し上、ハイティーンのこの世代をこういう「等身大」を描くというのは実はあまり見かけない新鮮さがあります。が、まあこの手のものにあまり自分が触れてないだけ、という気がしないでもありませんが。
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