【芝居】「人魚姫」ノックスノックス
2019.6.29 18:00 [CoRich]
休憩15分挟み135分。6月30日まで、すみだパークスタジオ倉。
旅をする老婆と少年。物語をせがむ少年に老婆が昔話を語る。
かつては人と人魚が共存していたが、海を汚し人魚の姿が消えてしまった時代。大きな戦争が起きていて水を争っていたが、人里はなれたその村では貧しいながら日々を暮らしていた。村で唯一の金持ちの家族が手に入れたのは、居なくなったはずの人魚だった。人魚は魔法が使え、それを狙った追っ手もやってくる。
舞台には実際の植物を大量に設え、小規模ながら生演奏による音楽や歌を重ねながらの上演。童話のような世界を「ホンモノ」の質感によって支えて描く物語。人魚に憧れて逃がし匿う娘と母親やともに暮らすネズミやカラスたちとともにしばしの自由を手に入れるが、やがて魔法を狙う武器商人の魔の手が、という童話のようなスタイル。その娘が年月を経て旅をする老婆に繋がるというのはわりと早々に分かる話ではあるけれど、果てしなく長い時間を奥行き深くみせるようになっているのです。
あるいは水槽を介した幻灯の演出は水滴や色の拡散が独特の表現を生み出します。
ネズミ・カラスを一人の俳優が両手に付けたパペットを操りながら掛け合いをするテンポの良さ。まあパペットマペットという前例はあるわけですが。きちんと声色を使い分ける力は、声優でもある藤谷みきの本領が存分に。人魚と娘を抱きしめるシーンの美しさ。人魚を演じた蓮城まことは圧倒的な存在感と歌声の美しさ。母親を演じた舘智子の肝っ玉っぷりも楽しい。逃げてきた兵士を演じた古澤光徳は実直で私達の世界から地続きを担保するリアリティ。金持ちの夫妻を演じた小林至、八代進一やなぞの老人を演じた村上哲也、武器商人を演じた林周一の振り切ったデフォルメは童話世界っぽく。
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