【芝居】「garden」(初期作品記録映像上映+リーディング) スタジオソルト
2019.6.14 14:00 [CoRich]
劇団第三回公演の映像に役者による生のリーディングを組み合わせた企画公演。ワタシは初見です。60分。6月14日まで神奈川県立青少年センター・ホールHIKARI。
工務店の親方の家の裏庭。妻は再婚で連れごと一緒に暮らしている。若い社員は中卒で6年目だが勉強が苦手て未だに運転免許がとれない。アラブ人の写真はバブル期から長く務めなじんでいるが、じつはオーバーステイで安い給料で雇われている。ある日、大学講師の職を痴漢で失い父親の紹介でこの工務店で働くことにする。
前回と同様、初演時の映像に現在の役者で上演。リーディングとはいいながら、椅子や道具があったりして動きもついているのも同様。こちらが独特なのはおそらく初演時にはなかった役「山ノ井 史 」の存在で、物語に直接関係しないものの、このリーディングの発表者というか司会者のような立ち位置で登場しつつ、実は字幕をリアルタイムでパソコンで打って表示したり、花火の音を足踏み鳴らして出したり、あるいはパーティのための餃子を仕掛けたりと黒子のような役割。かつての所属俳優の顔をみる楽しさに加えて、過去の劇団の姿を現在から見つめる視点にも感じられるのです。
決して豊かとはいえないけれど少々がさつだが日々明るく仕事をしている人々。会社を兼ねる自宅の裏庭という場所で仕事終わりの息抜きだったり、会話の隙間だったり。楽しげに見える社員たちだが、そこにここで働くことになった場違いな男が交わることでゆらゆらと変化していきます。それはいままで喋れなかった自分のことや会社に対する不満など鬱屈する気持ち。新たに入った男も含めそれぞれの背景がたった80分弱の中で実に丁寧に描かれるのです。
半年ほどが過ぎ、新たな男も馴染んできた頃、それぞれの次のステップが見えてくるような終幕。大学に戻った男が免許に落ち続ける男にコツをまとめたノートを渡すとか、オーバーステイの外国人は半ば駆け落ちで帰国するとか(冗談めかして言う「日本は嫌い」という絶妙さ)、家を出ていた妻が再び戻ってきたり。変化しつつ、しかし皆はそれぞれに暮らしていく希望なのです。
ホールとしてホワイエを整備したHIKARI、その出口の先には長めの良いデッキ。横浜港の花火を観るにはちょっとつらい場所だけど、ホワイエ側で芝居して花火が混じったりしたらまた新たな魅力になりそうと夢想するワタシです。
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