【芝居】「バー・ミラクル(Sweet)」feblabo
2019.7.7 18:00 [CoRich]
110分。DryとSweetの二本立てで8日までシアターミラクル。ワンドリンク付き、全席にささやかながらグラス置き場が設えられているのが嬉しい。
開店前日の店、ビルオーナーの先輩の女と店主である後輩の男。準備をしているところに、ここの前の店主を訪ねる女がやってくる。突然閉店して連絡が取れなくなったことを寂しく思っている。「キール・カーディナル」(作・NOMU)
魔法少女バーの開店前、雇わえたアルバイト三人が集められる。魔法少女になりたいことが条件で、店主はその覚悟を訊く。「夢見る少女でイタくない?」(荒井ミサ)
降霊術をつかう巫女が店主の和風バー、想いを残した死者と会話し成仏に導く。ある日、不幸な事故で亡くなった女が恋心を抱いていた女を忘れられず亡霊となっている女が訪れる。「モーニング・グローリー・フィズ」(ダーハナ)
恋人同士の男女だが、男が女を好きすぎて自分も仕事もないがしろにしていることを危惧して女は別れを告げ、二人はパパ活の関係を続ける。その関係でも二人は会いつづける。「エモくてごめんね」(大逗恭弘)
若い作家の作品を池田智哉が若い役者で演出する、というスタイルのオムニバス。スイートと名付けられてはいても、決して甘ったるくはない4本。
「キール〜」は会えなくなった前の店主への想いを募らせる女に対して、店に残っていたというラジカセとCDを読み解いて前の店主が女に想いを持っていた、と投げかける優しい嘘の話(なるほど、カクテル言葉..)。曲名と名前を紐付けるなどしても、そもそもCDだって今の店主が持ち込んだものだし、というオチは実にあっさり。凝ってはいないけど超短編ゆえの爽やかさを残します。
「夢見る〜」は、魔法少女という夢を持ち続ける女たち、店主はそれを求めながらも厳しさを説いて。努力だったり特別だと思い込む力だったり、変わりたいと思う気持ちだったりがその夢の原動力。夢見る少女のままで「居たい」と「イタい」がかかるようなタイトルがちょっと巧い。キャラクタを極端に振ることでコントラストが面白くなる反面、短い時間ではキャラなのか本心なのかが少々わかりにくくなりがちな気も。
「モーニング〜」は、実らぬ悲愛を抱える二人の女というシリアスめに描く過去と、降霊バーを訪れた亡霊をバーテンダーが優しく包み込むややコミカルめの現在という二つの時間を描きます。二つの場面の前後関係がわかるまでは少々戸惑うし、死んだ女は同じ役者で、生き残った一人を二つの時点で京子・キョウコとして別々の役者になるのは、もちろん構造の面白さのための意図的に狙ったものではあると思うものの、ちょっと違和感を感じるワタシですが、短い時間の中で構造を作ろうとした心意気。
「エモくて〜」は好き合っているのにパパ活の関係、つまり金銭と愛情表現の交換という関係を選んだ男女の物語。恋する関係は人それぞれ、傍から見ればおかしいとしか思えなくても成立してる二人、というちょっといい話をコミカルに描いている、と思いきや、終盤女には恋人がいて、その二人の関係もまたママ活という逆転になっている、とウッチャるのは、なるほどとは思いつつも、必ずしもオチとしてうまく機能してない感じを受けるワタシです。
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