【芝居】「バー・ミラクル(Dry)」feblabo
2019.7.6 20:00 [CoRich]
若い作家の作品を池田智哉が演出するショーケース企画。休憩はさみドリンク付きで100分。DryとSweetの二本立てで8日までシアターミラクル。
縛られた男が目覚めると、殴り殺された男とバーテンダー。何が起きたか覚えていない。オーナーが現れ何が起きたかを「悪魔のかいせつ」(作・萩原達郎)
離婚を切り出す夫、自分の浮気が原因だというが妻は信じない。両方の友人であるバーテンダーが遠くから見ている。本当のことを言い出せない男たち「嘘つきな唇は、たぶんライムとジンの味。」(作・いちかわとも)
忙しすぎて文句を言うアルバイトの女、ぶち殺したいと呟くと頭のなかに「力を与えよう」という声が響く。囁いた悪魔は徳を積み天使になりたいという「力が欲しいか」(作・高村颯志)
ちょっとほろ苦い3本で上演。「悪魔の〜」は、物語としては、バーテンダーの女と客の男がいちゃついているのが気に入らない男が殴り殺し、オーナーがそれを見つけて縛った、という流れなのだけど、男のメタ視点のモノローグが大量にあり、ぐるぐるとかき回されるよう。サスペンスめいている雰囲気だけど謎解きがあったのかなかったのか、それをチャラにするように踊って終わるというのは潔い。男を演じた金田一央紀はちょっと拗らせてそうな雰囲気と、メタ語り口の強さが力。
「嘘つきな〜」は不妊に悩む夫が妻を想い離婚を切り出すが、妻は信じない、が嘘を突き通すというのが物語の骨子。それを見つめるバーテンダーは古くからの友人で何かを言いかけて飲み込んだりを繰り返す。越路吹雪が一つのキーワードで、バーテンダーがゲイでそれを言い出せないまま、彼もまた嘘を突き通したと読むワタシで、シンプルな3人の芝居なのにその奥行に驚くのです。
「力が〜」は毒づいた女に力が欲しいかと囁く悪魔、でもそういうのいらないからと女が取り合わない噛み合わなさ。普通なら力が欲しくて悪魔と取引するというパワーバランスなのに、それが逆転して天使になるために徳を積みたい悪魔が頼み込んで力を与えたいという楽しさ。次のアルバイトはやたらに悪魔に詳しく滅ぼす力が欲しい、とストンと落とすのも楽しい。
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