【芝居】「ナツヤスミ語辞典」キャラメルボックス
2019.5.19 18:00 [CoRich]
5月末で劇団の活動休止を発表したキャラメルボックス、結果的に活動休止まえ最後の一本。1989年初演の人気作、劇団員全員のアンケートにより一番再演したい作品の再演ということの意味を今更噛みしめる120分、26日まで俳優座劇場。劇団サイトでは戯曲(1,2)も公開されています。
足を骨折し役者の仕事に不安を感じている男。産休代用教師だった頃の教え子たちから夏休みに体験した不思議な出来事の手紙を受け取る。
携帯はなくフィルムカメラだからこその心霊現象が現れたりと明確に二昔まえの時代、登場人物の造形はくっきりと輪郭があり明確で、張った声で上演されるスタイルも小劇場ブームまっただ中という雰囲気を纏います。が、それは決して古くさいわけではなくて、当時の若かった作家自身を映すように、何物にもなれないかもしれない、時間だけはやたらにある「ナツヤスミ」という状態の焦りが色濃く、あふれ出すような気持ちが舞台を満たすのです。
コミカルで、ちょっとおしゃまで元気いっぱいな中学生女子という年齢感が絶妙で、今はまだ何物でもないけれど、何にでもなれる、未来には希望しかないという潑剌さがほんとうに眩しい。主役グループ、対してちょっと意地悪な感じのグループというシンプルな対立する構造も実に若い作りだけれど、年齢が行ってるワタシ、それがむしろ楽しかったり。「ナツヤスミ」状態の男とのコントラストが対照的なのです。何回かは拝見してはいるものの、スタンダードにストレートな上演は実は初体験。こんなにも面白かったか、と友人が興奮して喋るぐらい、本当に多幸感あふれるあの舞台は、もちろん物語のもともとの圧倒的な力、幅広い年齢が支えてきた劇団の役者やスタッフたちの結実が作り出したのか、とも思うのです。サンシャイン劇場ではなく、少しコンパクトな劇場という劇場の選択も今作のクオリティに対してはプラスに働いているように思うのです。
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