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2019.06.24

【芝居】「風の奪うとき」TOKYOハンバーグ

2019.6.8 19:00 [CoRich]

95分。9日まで「劇」小劇場。 ネット販売会社の地下倉庫、出入りの業者の男が検品し、ここの担当社員の女も一緒にいる。男は子供二人、女は妊娠していて結婚の予定があるなどの世間話をしていると、警報音につづいて大きな衝撃を受け、閉じ込められる。幸い倉庫に物資はたくさんあるが、何週間経っても、助けは訪れない。

「風が吹くとき」(wikipedia)にインスパイアされたらしく、おそらく壊滅した外界と隔てられた空間に生き残った男女二人。こちらは若い男女で、それぞれに家族が居るが連絡が取れないというシチュエーション。放射線に対する構えはしているものの、核兵器かどうか、あるいはその影響は明確には語られません。どちらかというと他人が隔絶した中でどう過ごしていくかという変化を描いているように思います。最初は危険を感じて動かず、臭いが気になったり、肉欲的な意味での寂しさ、外に出るための試行錯誤、あるいは外の状況を知っての絶望と、それでも外を目指すことを選択する二人。

「〜吹くとき」は明確に核戦争のあと生き残る人々に降りかかる悲劇を描いているけれど、こちらは男女の距離感の変化と希望を持つ終幕。叶えられないかもしれないという分を織り込んだとしても、若い男女の距離感の変化を描く舞台として核というアイテムがちょっと大きすぎるように感じるワタシですが、これはかなり人によって異なる意見になりそうな気はします。

愛情とはちょっと違うけれど、もしかしたら地球上にこの二人しか残っていないということをどこか自覚しているような空気感があるのは、この手の話として珍しい描き方。劇的な状況で悲しい気持ちはあってもなお、二人の関係は穏やかで実に優しい空気が描かれるのはやはり作家の持ち味かなとも思うのです。

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