【芝居】「1つの部屋のいくつかの生活(青:鵺的+かわいいコンビニ店員飯田さん)」オフィス上の空 P
2019.4.13 15:00 [CoRich]
オフィス上の空のショーケース企画。青と題されたパートは鵺的、かわいいコンビニ店員飯田さんの組み合わせで休憩10分を含み145分。吉祥寺シアターの千穐楽をなんとか拝見。
四人姉妹の夫たち。浮気をきっかけに揃って妻たちは離婚を切り出す。男たちは芝居してたり無職だったりと離婚を渋る。浮気の相手は四人姉妹の父親が他の女に産ませた子で外国人であることを理由に認知しておらず、それを恨みとした嫌がらせだった。その姉は堅実に生きているが来ないはずが突然訪れる。(鵺的「修羅」)
お茶の間風のリラクゼーションスペース。格安宇宙旅行の旅客たち。精神的に不安定な妻を連れた夫は浮気をしたりもしている、カップルの女はどうしても性欲が湧かなくなった相手に別れを切り出すが男は諦められない。大浴場の湯沸かしが故障して不便だが、船長はもっと重大な危機の故障を隠している。目的地への到達は難しく、地球に戻る決断をしないといけないが言い出せない。(かわいいコンビニ店員飯田さん「我がために夜は明けぬ」)
日本家屋の一室を模した舞台装置を共有し、そこでそれぞれの劇団の作品を上演するという企画。鵺的は離婚や浮気をめぐる話。かわいいコンビニ~はなんと宇宙船のレトロなリラクゼーションスペースの人々というまったくことなるシチュエーション。
「修羅」は大きな家を持つ四人姉妹がその夫の浮気を理由に離婚を言い渡す場面。浮気相手は四人姉妹の異母姉妹の恨みによるもの、さらにはその浮気相手がもう一人の異母姉妹によって刺し殺されるというまさに修羅。更に夫たちは殆ど働いていないとか、妻の側にも浮気の事実があったりとそこかしこにある不都合な事実。経済的には妻たちが男たちを養う図式で別れたくない男たちがごねまくる前半、父が浮気したために男を徹底的に信用してない妻たち、隠したい異母姉妹や妻たちの側にも浮気があったりと混乱する中盤、さらに浮気相手が刺され、手仁平を帰しこの家族から逃げようとする男たち、あるいは女たちも全てを失いそこから始めるしかないという終幕。
4組の夫婦の事情という実は少々人数が多い物語だけれど、刺激的で時に行きすぎるぐらいデフォルメされた物語、癖が強くくっきりと造型された人物のおかげで見やすくいのです。修羅場ゆえに露呈されるみっともなさのショーケースを描く作家の細やかさ。男たちが小劇場の役者で碌でもない男たち、小劇場演劇という世界を少々ディスるという自虐ネタはご愛敬。浮気相手を演じた赤猫座ちこ、その姉を演じたハマカワフミエ、少し遠めのワタシの席からは瓜二つっぷりがすごい。なんてことがわかるのも、この企画の中でこの劇団だけが配役表を公開しているおかげ。その機動性と柔軟さもマル。しかし、主催団体は今後もこうなんだろうか。
「我がために夜は明けぬ」は悲劇的な状況が起きている船とそれを隠そうとしているスタッフたち、何も知らない客たちの馬鹿騒ぎやすこし間抜けな日常の中に徐々に浸食する不穏さというタイタニック的シチュエーション。夫婦の間の浮気やドラマチックな愛情、恋人たちの別れ話のいざこざなど、どこにでもありそうな、正直どうでもいい話の数々はそれを支える脆弱なインフラの上に乗っている砂上の楼閣たという構図がちょっとイマ風で面白い。とりわけ、吹き出した煙が大浴場の湯沸かし器だったとわかり機材を理解していないと攻められる船長のシーンが秀逸で、人間が造り出した技術なのに技術の進歩に人間は追いつけず、操縦どころが機構もボタンの意味も知らないと開き直るのです。エンジニアの端くれだったと思っているワタシにしても、暮らしているインフラの全てを把握してるなんてことはあり得ないし、それを単に目の前の責任者を叩くだけのことしかしないし、出来ることを考えようとする素振りすらない、ということがイマドキっぽいなぁと思ったり、そこが描きたいことかどうかはわかりませんが...
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