【芝居】「スロウハイツの神様」キャラメルボックス
2019.3.29 19:30 [CoRich]
辻村深月の人気小説の舞台化、2017年初演で2年を経てほぼ同一のキャストで再演。130分。31日までサンシャイン劇場。そのあと大阪。平日19:30開演が嬉しい。
クリエイターたちが集うシェアハウスを運営する人気脚本家の女性と、そこの住人の一人、かつてバッシングを受けたが匿名の少女の新聞への投稿に救われたベテラン作家の男を軸に物語を描きます。人気作の盗作疑惑がからんだりはするものの、基本的には互いに救われたと思っている二人の人物それぞれの視点から二人が過ごしてきた時間を重ね合わせて見せる物語の厚みは初演と同様に見事なのです。
わりと観た芝居を忘れがちな私ですが、今作は最近のキャラメルボックスの作品ではとても印象深く、物語の構造の面白さに加えて、キャラメルボックスという劇団のベースともいえる「人が人を想う気持ち」を演じることとあいまって、出色な一本といっていいと思うのです。キャストの印象も変わらず、実にいい座組なのです。結果として、初演の自分の感想を見返すと同じ感想で変わらないというのはブログ書きとしては痛し痒しなんですが。
とはいえ、変わったところもあります。いわゆるマスコミのメディアスクラムに対しての作り手の描き方自体は変わってないと思うのですが、2年を経た私の側の感じ方はずいぶんと変化していて、「まだそんなことをしている人々」と感じるようになっています。好きなアーティストの扱われ方、メディアの中にも温度差を感じるようになっていて、変わっていないことの絶望感と、もしかしたら変わるかも知れないという希望の萌芽を、芝居を観ながら思い出したりもするのです。
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