【芝居】「王国で殺して」ユニークポイント
2019.2.24 19:00 [CoRich]
ユニークポイントの新作、 75分。白子ノ劇場。ソワレ千秋楽だけどギリギリ終電に間に合うと気付いて。
小学四年生男児が交通事故に遭い病院に運ばれる。駆けつけてきた母親は医師が求めた手術の同意書に 対して輸血をするなら信仰を理由に拒否するという。
信仰を理由に輸血を拒否する母親と友人、医師たちを描きます。医師は優しく説得を試みたり、別の医師は助けるべきという強い意志を持ち。かつて事件となったあの時代よりも同意書の持つ意味は重くなり、絶対に動かせないものという位置づけの説得力は増しています。
後から現れる信仰の「兄弟」は仕事とは別に月120時間の奉仕など尋常ではないのめり込み方、さらに強固に、揺れる母親の心を強く信仰に留めます。 この動かしようのない枠組みの中で、作家はいくつかのフックをしかけています。一つはその兄弟の強い心の中に見える隙としての恋愛感情で、手を握り返すだけのことでもそれをふしだらなものと扱うことで強い信仰する心が揺れる瞬間を。 もう一つは外科医と母親それぞれの子供が同じ学校の同じ特殊学級に通うという繋がり。そういう子供であることを外科医は恥ずかしく思ったりこの子が居なければと感じてしまう瞬間があるのに対して、母親はその苦しさから信仰を手にして、結果として現在の母親には特殊学級ゆえの恥ずかしい気持ちは微塵なく、子供は自分の全てだと言い切るけれど一方で躾と称する虐待に躊躇がなく児童相談所が来ても同じことを言えるというゆるぎのなさがあるのです。
信仰ゆえに持てる強い拠り所は生きる原動力になるけれど、いっぽうでそれが一般の社会との間の齟齬がある場合に強く守りたいが故に暴走してしまうこと。今作の信仰は少なくともワタシには奇異に映るし、怖さすら感じるけれど、果たして医師やワタシたちの側は完全に正しいのかという問いかけに、ワタシはまだ答えを見いだせないでいるのです。
2019.2.24 19:00
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