【芝居】「みみばしる」ゴーチ・ブラザーズ×ゴジゲン×J-WAVE
2019.2.17 18:00 [CoRich]
J-WAVE開局30周年、劇団ゴジゲン10周年の企画公演。ラジオ番組「JUMP OVER」(J-WAVE)を通して作り上げ、リスナーを含んだオーディションで選出。120分。そのあと、福岡、大阪。
会社を首になった女は面白く感じた劇団の手伝いを始めるが、ファンから入ってきたことや慣れない仕事に辛い日々を送ってる。ある日、妹が聞いていたラジオ番組を聴き始める。それは下半身不随のパーソナリティが過激な口調でリスナーからの愚痴などを全力で励ます人気番組だった。投稿したメッセージが読まれてそれがとても嬉しく感じて。
TBSラジオ好きで日々の時間のずいぶんを吸い取られてるワタシです。「ジェーンスー・生活は踊る」のパーソナリティがラジオ愛に溢れた舞台を一押ししていて千穐楽に当日券で滑り込みました。その当のパーソナリティもスタッフともに座席にちらりと。
孤独感や理不尽、力不足などの日常の凹む気持ち、一人でヘッドホンで、あるいは建設の現場で。様々に聴かれるシチュエーションだけれど、パーソナリティと一対一で向き合うような。ラジオの特性、そこにたどり着くさまざまな人々を丁寧に描く前半。それを牽引する番組パーソナリティ、障碍を持ちながらも過激な口調でリスナーを鼓舞していくパワーとともに描きます。 リスナーはメッセージを送り読まれることで嬉しくなるのはある種の承認欲求ですが、読まれたいあまり嘘を盛りはじめたり、あるいは理不尽な物言いの高校生に殴りかかってそれをどうしたらいいかというリスナーメッセージなどより過激なものが取り上げられていく負の側面が描かれる中盤。さらにはパーソナリティ自身もまた下半身不随の嘘がバレ自身で足をバールで殴りつける模様を放送するなど、過激でセンセーショナルな刺激を送り手と聴き手の双方がマッチポンプのように盛り上がってくのです。
手伝っていた劇団の公演の中止など、盛り上がりすぎたことが進むことに危惧した主人公ら何人かは過激化するいっぽうの放送を乗っ取ることを考えます。
ここに至り、違和感が終幕まで拭えないワタシです。 たとえば、放送局オフィシャルな芝居なのに電波ジャックをわりと軽く持ち出してきていること。放送波の乗っ取りとなれば法律違反はともかく、明確にテロ行為ですから、それを冒してでもつかみ取りたい物が物語に欲しいところ。
ところが、物語の中でこのテロを先導する人々の想いは「この場所を守り、自らの言葉を発信し聴いて欲しいから」なのです。 ハガキが読まれたりはしないけれど、ラジオは確かに面白いとワタシは思うし、その場所を守りたいと言う気持ちはとてもよくわかる。その「細やかな気持ち」と、テロを起こすことのバランスがどうにもおかしな感じで、腑に落ちなくて違和感ばかりが残るのです。違和感といえば、劇団の話しも大工たちが冒した暴行行為もわりと有耶無耶に終わった感じなのも食い足りない。
どういうテンションの番組なのか、ワタシはよく知らないけれど、不器用な人々を丁寧に描いた前半はともかく、ラジオ愛の発露が少々いびつで、自覚無い暴走という形になっていることで、ワタシにとってのラジオへ寄り添う気持ちを傷つけられたと勝手に感じるワタシなのです。
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