【芝居】「じん、じん、じゃん」ヨコハマ☆ファンキー・モンキー・マン‼︎
2019.3.16 [CoRich]
神奈川演劇連盟のショールーム企画公演の中の一本。45分ほど。今後の各地でのツアーが企画されています。
病院の待合室。事故で重傷を負った男女が運び込まれている。事故を起こした車はタクシーだが、運転手の男は助手席に居て、別の女が運転していたのだという。待合室にいるのは女の夫と、運転手と同居している同性パートナー。
待合室で待つおじさん二人。交通事故を起こし手術を受けている男女は舞台には現れず、運転手が運転していないという特異な状況だったり、なぜ二人が乗っていたかの謎は散りばめられますが、物語の上ではほとんど回収されずに放りっぱなしで進みます。
非常事態で初めて顔を合わせ、手術が終わるのを待つので離れられない状況のおじさん二人きり。それぞれの背景と事故に対する動揺を語ったあとは、話すきっかけを手繰るように、整体をやってみたりと何気ない会話で徐々に距離が近づく感じ。
朝は当然事故が起こるとは思いもしなかったわけで、いつもの日常に、少しすれ違っていたりして、今朝は笑顔を返せなかったとか、ちゃんと話をすればよかったと後悔したり。子供を作ることができない同性カップル、子供を幼くして亡くした夫婦など若くはないカップルが二人きりで愛情をもって暮らしていることを丁寧に、しかしごく些細な出来事で描くのです。
手術を受けている二人がどうなったのかは結局は描かれません。待っている二人は憔悴し、ぐるぐると思い悩みながら、終幕では「絶対にもう一度笑顔で会うのだ」という決意が示されるだけなのです。この二人のおじさんの気持ちが揺れ動き、ぐるりとここにたどり着いたというだけなのだけれど、おじさん二人が造型する人物の解像度と奥行きは高く、目が離せない濃密さを持っています。旅公演、いろいろな場所で演じ熟成されていくことが楽しみな一本なのです。
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