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2019.02.01

【劇作家大会】「長い女」 劇作家協会 (月いちリーディングの作り方+月いちリーディングの未来)

2019.01.25 18:30

稽古部分も公開されていたようですが、前のイベントとの間の食事時間が全く取れず、泣く泣く断念。本編30分ほどとディスカッション。

父親と母親。娘を寝かしつけていちゃいちゃするが、娘は起きてくる。父親が創作したお話しをねかしつけに話してくれる。長女は「ネオ白雪姫」がお気に入りだ。 魔女が美しい白雪姫を妬み毒入り手羽先で毒殺しようとするが失敗に終わる。両親を早くに亡くし長女が妹弟を育て三人で暮らす家だったが、次女が結婚の為家を出ることになる。そのお祝いの日、かつて父親が書いていた「お話し」を見つけて、三人でごっこ遊びをしていたのだ。

劇団対抗で順位をつけるというイベント用に作られた短編なのだそうで、作家自身も言うとおり、かなり盛りだくさんに要素を詰め込んで作られています。笑いも多くて盛り上がるのだけれど、実際のところ相当に入り組んだ物語で、全容を掴むのはなかなか難しいというのがディスカッションを通して浮かび上がります。戯曲を手元に持つゲストの劇作家さえ作家の意図が完全に伝わっていたとはいえず、客席からもわからなかった、の声が多数。私はといえば、当日パンフの前書きやディスカッションを通してやっとこさの理解だけれど、この短時間にこれだけの複雑な要素を詰め込んだことに驚いたのです。しかも、理解が中途半端だったとしても面白い、とは感じるのです。

議論の途中でもコメントがあったように、場面場面はおもしろく全体でも楽しさやイキオイのようなものがわりと支配的だったり役者のちからもあいまって、で、よくわからなくてもおもしろい、と言う印象を持ってもおかしくないもりあがりなのです。

双子の次女長男を産んでほどなく両親がなくなり、長い時間に妹弟を育ててきたという長女の孤独がもとにあり、成長した妹の結婚にあたって、妹弟が生まれる直前の両親の様子や父が書いた「ネオ白雪姫」のごっこ遊びを久しぶりにやってみているというのが全体の構成。最初は両親が居るように見えるけれど、それも妹弟が想像でエチュードとして演じている(二回挟まる「こんなだったのかなぁ」という小声のセリフがそれなのだそうで)というあたりが単なるごっこ遊び以上に奥行きが生まれた反面、その順序も含めてかなりわかりにくくなった印象があります。ディスカッションのやりとりや、作者の口上を見て再構築して、この奥行きの深さに気付くアタシなのです。

確かに判りやすい物語ではありませんし、前段の『エチュード」部分が本当に要るのか、イオンの手羽先で毒殺とかその売り場主任の不倫疑惑みたいなくだりは(ホントにおもしろくて好きなのだけど)こういう形であるべきなのかなどバランスに議論があるところだと思いますが、元々のイベントのための30分の制約をなくしたフルバージョン、見せ方次第ではおもしろく、そして見やすいものになるんじゃないか、という期待を持たせられる力のある一本だと思うのです。

続けて、日本各地でリーディングイベントを開催する、劇作家協会の各支部の紹介などのシンポジウム。札幌、神奈川、東海、関西、東北、および東京のリーディング部や事務局。それぞれの場所での活動の頻度やどのように選んでいるかの紹介。戯曲の募集をするためになかなか出てこないところでどう敷居を下げるかとか、あるいは多くの人からの批評に晒される場なわけで、じつは相当に事務局の下ごしらえがされていて、開催までの間に事務局がそういう場であることの覚悟やケア、あるいは質問の内容をある程度方向を合わせてきている、というようなことが語られました。なるほど、確かに相当な労力。ちょっと軽い気持ちであちこちで、と思っていた私の浅はかさに恥ずかしくなったりもするのです。

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