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2019.02.14

【芝居】「PARTY PEOPLE」艶∞ポリス

2019.2.3 14:30 [CoRich]

11日まで駅前劇場。100分。

裕福な家に生まれながらも家を出てOLとして働き、金にだらしない絵描きの男を養っていた女、やがて別れた。
数年後、大金持ちの家で次男の誕生日パーティが行われる。IT企業の社長やパーティ界隈の女たちが呼ばれている。主役の次男は役者志望でハングリーが足りない環境に不満がある。長男は中国人の女と結婚し実家と折り合いが悪い。IT企業の社長はここで出会った女とキスをして恋愛体質の女は盛り上がるが男はつれなく女はさっき貸した金を返せと迫る。派手な服の個性的な女はこの家の妻の友人だが、この場所にいる誰よりも稼いでいる。ラッパーの女と友人は場所に圧倒されているが冷静に見ているところもある。かつて同棲していた男はDJとして、女は恋愛体質の女の友人としてパーティに呼ばれ偶然再会する。

舞台全体は大豪邸の一室の雰囲気、奥に廊下、客席側に窓があって池があるという設定。舞台下手に四畳半のアパートの部屋で同棲していた過去のシーン。

同棲していた男女のごくプリミティブな金に対する格差とも云っていい見方の違いを根底においてはいると思いますが、この二人の物語そのものが物語の核というわけではなくて、いろいろな人々の群像劇、というのが確かにぴったりきます。 セレブな人々のパーティ、生まれも育ちも裕福だったり、のし上がってきたり、虚勢を張ってはいるけれど内実は火の車だったり、若い女性だからと呼ばれていてもわりと裕福なOLやモデル、ラッパーだったり。バラバラな背景の人だけれど、セレブなパーティという場所にふさわしく振る舞おうとする人々という設定が縛りとして巧く機能しています。

基本的にはコメディので笑いの多いつくりですが、作家がこの劇団で描き続けているのは、人々に対しての鋭くしかし同時に優しい視線なのです。それは登場人物の全てに行き渡っているのです。同棲してる女を演じた川村紗也の上品にまっすぐな感じ、友人を演じた彩木りさ子は実直でゆえに恋愛体質の面倒な二面を丁寧に。 同棲相手の男を演じた常連・谷戸亮太も二つの立場だけど変わらず駄目を自覚してそうするしかない造型に魅力。その男と付き合ってるはずのモデルの女を演じた中山まりあもチャラく見えながらまっすぐなジョシを。ラップする女を演じた奥村佳代の鋭い人を見る目は人物の奥行きを感じさせじつは物語のあちこちの要。とりわけラップバトルのシーンが圧巻で、相手を演じた次男役・藤田晃輔も打ち勝ったという説得力の迫力。ほぼ出落ちに見える派手な出で立ちの女を演じた小林きな子は、見目麗しい、ではなくても誰よりも稼ぐでもなんでも確かな自信を持つことが胸を張り凜として立つ女を体現する迫力をきっちり。

キスして恋愛体質の女から金を借りたという渋江譲二 演じるITベンチャーの社長のヒールをここにい立場の違う女たち全員が責め立てるというシーンが実に良くて、 #Metoo ムーブメントをてらいなく描くのは実は小劇場の芝居でありそうなのにワタシの見てる範囲では初めてなテイスト。素晴らしい。

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