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2019.01.01

【芝居】「SHIP」浮世企画

2018.12.9 18:00 [CoRich]

90分。9日までAPOCシアター。

子供のバザーに出す縫い物を手伝って欲しいと友人たちが家に招かれる。フリーのカメラマンは三十代になって仕事をがむしゃらに頑張っている。恋人もいるが今は仕事を頑張りたい。気遣いのOLは飲食店オーナーと不倫の関係にあるがともかく男ウケが良い。編集者だったが今はフリーターの女は夫の不倫が原因でバツイチになって一年が経つ。同年代の女たち4人が集まれば喋るばかりで縫い物はあまり進まない。

いわゆるアラサーを迎えた女たち、結婚子持ち、仕事バリバリ、不倫どろどろの色気たっぷり、バツイチのフリーターなど、年齢は同じぐらいなのに異なるステージをめぐる人々がただただ話す濃密な会話劇なのです。 このスタイルになると恋人がほしいとか恋人との関係、恋と仕事どっちをとるみたいな恋愛を主軸に描くものが一般的に多いけれど今作は必ずしもそうではありません。恋や仕事についてはそれぞれの人物の背景や造形として付与されたり、結婚することに拘る人物が一人いたりしますが、それぞれがどういう家族に育ったか、どういう未来を描いているかということの一つの軸として、どれが正しいということではなくて、一人の 基本的に描かれているのはそれぞれの人生を互いに話し、最終的には自分で選び取る、ということなのです。

それぞれに選び取った人生はそれぞれにプライドがあるし、負い目もあるグラデーション。同世代の四人という組み合わせのバランスもよいのです。

たとえば、結婚している女は子供ができたからの結婚だけれどそれを女性の側の台詞として「責任のとりかた」という台詞に。当たり前のことなのだけどちょっと新鮮で凛々しい。一方でその女が生きてきた家族は父や弟が暴れ母手作りという概念がなくていわゆる旧来の家族からははずれていたことを内包していることが後半で明かされます。

フリーのカメラマンは若い頃は若いだけで中途半端だったという自省、恋人はいるけれど仕事の踏ん張り処がいまここ、という格好良さ。モテ系のOLは女たちとの間の処世術として過剰に気を遣い、しかし男受けは間違いなく、パワハラオーナーと不倫したり、地元ではサセ子としていきてきたり。その背景となる実家はきっちりしすぎていて息が詰まり、家族にサセ子であることがバレても父親は責めずに対話するとか。それゆえ結婚しなきゃという気持ちも人一倍で。バツイチのフリーターはかつての編集者という仕事はうまくいかず、夫に不倫されバツイチでフリーターになって。不倫は家庭を壊すと許せないとう強烈な気持ち。妻の立場として不倫され、あるいは子供の頃に父親が家庭を捨てて出て行ったという二つの視点から描くのです。

終幕前、人を殺していたらどうするか、という告白のところで地震。それについては語らず、つまみと酒を買ってきてグラスより缶を直接飲み干す格好良さ、強く生きていくという印象を作るのです。

ワタシの観た千秋楽、終演後のイベントは人狼ならぬ不倫女優をあぶりだすゲーム。ルールがちゃんとわかってないところがあったりするのもご愛敬。

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