【芝居】「ベイサイド実験室 2時限目」ネオゼネレイター・プロジェクト
2018.12.23 15:00 [CoRich]
大西一郎と猪股俊明が稽古場兼スタジオであるベイサイドスタジオで定期的に戯曲を読む「原点回帰作戦」を行う一環で生まれたシンプルなスタイルの公演。23日まで横浜・ベイサイドスタジオ。
娘と結婚させて欲しいとと父親に持ちかける隣家の男。父親は喜んで娘を呼び二人きりにするが、ふとした弾みで両家の間の土地の所有を巡る問題に踏み込んでしまう。互いに問題は解決済みだと譲らず口論となり男は家を出てしまう。結婚の申込だったと知った娘は呼び戻して貰いもう一度話をするが、今度は互いの家の猟犬を巡って口論となる「結婚申込(九州弁版)」(チェーホフ・牧原純)
見合いで待ち合わせた男女。しかし待っていた女は見合いの相手ではないと言い張りその友人で代わりに来たのだと言い張る。
結婚媒介所の見合い室。見合いを勧められては難癖をつけ沢山の条件をつけて断ってきた女。見合い相手だと紹介されたのはぶっきらぼうで冴えない風体の上、女が挙げていた数々の条件は殆ど満たしていなかったが。(「頼母しき求縁」岸田國士(青空文庫))
偶然とはいいながら、プロポーズや結婚を巡る三本。 一本目、好き合った男女だけれど互いの生家が抱えている歴史的な(些細な事情)がからむとその愛情に蓋をして言い合いになってしまうという二人。古くさい家制度とか身分の違いとか大仰に構えず、使い道の無さそうな土地の境界線とかどちらの猟犬が優秀かといった些細な見解の相違やマウント取りたい気持ちが前に出てしまうということでその些細さゆえに深刻さではなくコミカルで浅はかな感じが良く出ています。一度男が出て行ってしまうことで冷静になれば愛していることは気付くのに、というのが絶妙。
二本目、待ち合わせた相手がその相手じゃないと言い張る不条理をコミカルに。時折物理に並々ならぬ敬意が見えたりする人柄が見え隠れしたりするし、もう後半では明らかに相手は待ち合わせの相手その人だと指摘するのに頑固に否定すること、それは奥ゆかしさなのか、何か試しているのか、そういう背景の片鱗も語られないのでちょっと怖さすら。
三本目。いろいろそれらしい条件をつけて見合いを断り続けてきた女がそれとは外れた男をすっかり気に入って、という一本。蓼食う虫も、といってしまえばそれまでではあるけれど、不思議とこの二人が幸せになっていきそうに思う造型になっていて幸せなエンディング。
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