【芝居】「絶望的観測」なゆた屋
2018.10.20 18:00 [CoRich]
女優・ほりすみこが定期的に公演を行うユニットの新作。100分。21日までOFF OFFシアター。
希望する気持ちがあればもしかしたらいける場所。そこに居る占い師に相談すれば願いが叶うという。スーパーで働き、周囲からは地味といわれている女は、そこに偶然たどりつく。波の音のする場所で何をするでもなく、のんびりと過ごしている人々。夫婦らしき男女が中心に、ギターを持った男も横に居てなんとはなしに過ごしている。 偶然訪れた女、そんな女に恋したけれど声をかけられない男、その男の力になりたいと考える幼なじみの便利屋。女の職場の同僚もまた何かを抱えている。
白を基調にしたシンプルな空間、少し緑。椅子がいくつかで広場風の場所。どうやったらたどり着けるかわからないけれど、たどり着ける人にはたどり着ける不思議な空間。そこに居るはずの占い師という噂。何とはなしに集まってお茶を飲んで、お弁当を食べてという緩やかな場所に集う人々。
外からはのんびりとした暮らしに見えるようだけれど、そこに集う人々それぞれに望みがあるのです。しかしその望みにガツガツと向かって進んでいるわけではなくて、それを内に秘めている人々。記憶を無くした夫を見守るためにずっと一緒に過ごしている妻、スーパーで見かける女に恋をしたけどそれをずっと伝えられずにストーカーめいた気持ちを抱えている男。それを応援したいと思っているけれど、ちょっと極端に行きすぎる幼なじみ。あるいは、兄に会いたくてずっと寂しい気持ちを抱えている女。
決して若くはなくて、もう叶わないかも知れないとも考えながら、しかし諦めきれない気持ちを抱えた人々それぞれを温かく、しかし近づきすぎない距離感で見つめるような視線は実に優しいのです。 一つの区切り、次に進んで行こうという気持ちも明るくて、ちょっと切ない感じもして。でもちゃんと前に進んで行くのです。
便利屋を演じた佐藤達は純朴で真っ直ぐだけれど限度を知らず友人を助けるためなら何でもやってしまいそうな危うさ、実はそれがちょっと怖いぐらいでもあって。恋をする男を演じた渡辺裕也は思い煩うところはちょっと可愛いけれど、こちらも一歩間違えればストーカー案件、その危うさとバランス。ずっと見つめている女を演じたほりすみこ、自分のコトがわからなくなった夫をそれでも見守り続ける姿の切なさ。
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