【芝居】「ねこはしる」KAKUTA
2018.11.23 13:30 [CoRich]
豊橋、水戸を経て、まつもと市民芸術館 小ホールで1ステージ。90分。まつもと市民芸術館で行う子供のためのイベント「チャオ・バンビーニ」が猫をテーマにしたさまざま、そこに組み込まれた一本として、 2004年の初演、 2006年の再演から12年を経て、子供向けの音楽劇としてリニューアル。ひ弱だった子猫、兄弟たちと離れ、野原にある小さな池に一匹だけ泳いでいた小さな魚と遊ぶうち、走り回り笑うようになる。が、その池が見つかり母猫は兄弟たちにその魚を捕らえるよう、競争させる。
ロビーでのさまざまな子供向けイベントのおかげか、舞台上にも客席にも多くの子供たち。元々の初演再演はもうすこし静かな朗読というスタイルで、スタイリッシュだった印象があるけれど、今作は完全に子供向けの音楽劇というスタイル、子供が泣こうが騒ごうがわりと大丈夫な強度で進む物語。
舞台上にも何席か座布団席。じっさいのところ、固定された客席にじっと座らせるよりもまつもと市民芸術館の人気企画・空中キャバレーのようにほぼ全員を平場においても面白いと思います。何をするかわからない子供と考えるとそれはそれでリスクだとは思いつつ。
「落ちこぼれの僕」という少年を語り部として置き、物語全体をくるむように。親友ができて強くなり、しかしその友人を捕食する側という抜けられない生まれついての業に。じっさいのところ、男の子にとって前向きで元気が出る物語とは言いがたい、実は複雑な感情の物語だとは思うのだけど、もしかしたら、子供がこれから数知れないほど出会っていく理不尽さとの折り合いのつけかた、ということなのかなと考えたりするワタシです。
多田香織、出てきた瞬間、高泉淳子の山田君を彷彿とさせてきっちり弱気な男の子を造形し走りきり当たり役の予感。子供のネコを演じた吉田紗也美は弱気から元気への細やかな変化を丁寧に。友だちとなった小さな魚を演じた添野豪は物語の中心にずっといつづけられる力。大人になったネコを演じた谷恭輔とのややBLな感じ、あるいは異儀田夏葉と桑原裕子のデュオも楽しい。
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