【イベント】「浅い眠り」(月いちリーディング 2018/11)劇作家協会
2018.11.10 17:00 [CoRich]
劇作家協会が戯曲のブラッシュアップを目的としたリーディングとディスカッションで構成する定期イベント。初めての会場・若葉町ウォーフ。本編70分。休憩を挟んでディスカッションが2時間弱。 戯曲冒頭部(pdf)が公開されています。人と関わり合いたくない人々を受け入れる村。全ての財産を寄贈し、最低限の関わりだけで維持される共同体を営んでいて、15年が経っている。理想に燃える副村長だが、村長は村の金を持ち出し姿を消している。 新たに入居を希望する二人。姉を探しに来ている女と、わけあり風でぶっきらぼう男。
関わり合いを持たず、静かに生きていきたいと願う人々。この村に隠れるように生きている人々。それは実家を継ぐのを嫌い逃げてきた女であったり、風俗で疲れ切ってここにたどり着き副村長の右腕兼愛人として安寧を得ている女であったり、あるいは居なくなった村長に替わりこの村の理想の実現に熱い思いを持つ男であったり。物語は、姿を消した女を捜しに来た妹と、安楽死に手を貸して死刑囚となったが死ななかったがゆえに釈放されたワケアリ男、あるいは取材を目論んで潜入しているノンフィクション作家だったり。
上演後のディスカッションでも多く出てきたのは、それぞれの人々が背負っている物語が徐々に明かされていくさまをつぶさに描いても、ここに集うことで変化していく様子が見えづらいことで、そもそもこれが何の物語なのかが見えてこないと言うことでした。一番変化するのは、逃げてここに住み二股を掛けられた結果妊娠して、会いたくなかった妹と話し、殺される女なのだけれど、必ずしも物語の幹とはなっていなくて、どこか背景の一つになっているような雰囲気があります。実際の上演かどうかわからないけれど、このリーディングでは双子の姉妹を一人の俳優が演じることで「出会うこと」の変化が描きづらい、ということがあるのかもしれません。
潜入した作家がしかし逃げられず、その間に毒をカレーに盛られて、無差別に酷い目に遭うことはサスペンスの要素になりそうだけれど、それも必ずしも物語としての推進力を持たないのも惜しいところ。
この村で行われていることが実は現在の日本の社会を箱庭的に凝縮して、カレーの毒とか安楽死、死刑囚が死ななかったことなどを相似形で描いているという見方が出来そうな気がするけれど、そこまでの推進力には至らないのもまた惜しい。
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