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2018.10.06

【芝居】「あじのりの神様」あひるなちゃら

2018.9.26 19:30 [CoRich]

85分。30日までスズナリ。初日は終演後にラジオ公開放送形式でのトークショーが設定されていました。

団地の広場、ベンチが一つ。幼なじみの男二人。一人はバツイチシングルファーザー、もう一人は妻が主婦で子持ちなのに無職、子供たちのあいだで噂になっている「あじのりの神様」は実は自分なんじゃないかと考えている。それは、団地のいくつかの家の玄関の前に時々、味海苔が置かれている現象が頻発している。
幼なじみの二人が子供だったころ、子供たちの噂は昼間からベンチに座って何をしているかわからない中年男二人で、アーバンとシロジと呼んで、ついていったり尾行したりしている。父母たちはちょっと気にしているが、子供たちの興味は止まらない。結婚を決めたカップルが団地に住む両親に挨拶に来たその日、女は黒魔術に凝っていることがわかるがその中身は世界平和とか可愛らしいものだった。

子供たちが噂している謎の現象、「あじのりの神様」を足がかりに、かつ同じ団地で噂になっていた男たち「アーバン&シロジ」を並列に描きます。平日昼間から何をするでもなく公園に居たりして、何をするかわからない中年男たち、いまどきの現実の感覚だとあからさまに警戒されることだけど、そこまでではないゆるさ。もちろん子供たちの安全は前提ではあるけれど、「何をしているかわからないおじさん」の謎めいた存在を許容するあのころの懐かしさを感じるワタシです。

子供たちの噂は現代にも置いて、「あじのりの神様」というまた一段ひねった存在にして、そこを起点にあのころの謎を思い出す構成が巧いなぁと思うのです。そのあじのりの神様の正体、みたいなものが物語のもう一本の糸。黒魔術に凝った女性が黒い紙を広場に散らかすという奇行めいたことをする時点でまあ「あじのり」との関わりは早々にわかるけれど、それがどうなって団地の各戸の前になったかをあっさりと落とすのも、クールな感じです。

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