【芝居】「はしらない」劇団スポーツ
2018.10.6 19:00 [CoRich]
105分。8日まで王子。
メンバーの一人の結婚をきっかけに集まる学生時代の人々。バンドを作ったが一度もライブをしなかった彼らで、余興で一度だけ演奏しようともちかける。そこに呼んでないもう一人が訪ねてくる。
軽音楽部を結成しても部室は茶道部の茶室に間借り、向こうはおだやかにむしろ軽音のメンバーを取り込む気満々。放送部も弱小で茶道部との掛け持ちだったり、何でもできる万能感あふれる一年生は乗り越えるべき壁を探して放送部にいたりする。力はあったのにバスケ部をやめた男、能力いまいちだけけどがんばるバスケ部のキャプテン、風紀委員のちょっと不器用な男、怪しい水を高額で売りつけることを学校中で行ってる男など。 まるでアメリカのドラマのようにさまざまな人々を描き、さまざまな対立軸や共感軸を作りながら、面として学校という場所を描くのです。
そういうおかしな人々がごちゃっと存在していた場所という描き方で、コメディ要素強め。正直、ドラマの要素は実際のところそうでもなくて、キャラクタの立った人物が存在することこそが愛おしい。 たとえば、ちょっとバンカラでがたいの大きい風紀委員が女子生徒に恋心を抱いているのに告白できず、元気がないと見るや誰がいじめたといきり立つ空回り感。あるいはただの水をぼったくり価格で学校中に手広く売りつけてる男の怪しさ。海外ドラマだったら麻薬とかそういうのでやりそうだけどそれが単に水という面白さとあいまって。放送部の部長が友達のバスケの試合で活躍できるようにかける音楽でチートな応援したり、意味も無く壁を見つけて乗り越えたい一年生がいたり。
前説も一癖も二癖も。異常に気を遣ったような体裁。開演遅れてごめんなさい、大きい音します、銃を構えたら、と微に入り細にわたり。どちらかというと慇懃無礼にしてそういう姿勢をおちょくるようなのも楽しい。
終幕はちょっと詩的というか、しんみりする感じ。あの学生時代からみなそれぞれに人生を進み、走りながら何年も経ち、仕事や結婚などそれぞれにちゃんと生きていて。その中で自分はどうだったろう、みんなみたいにここまで人生走ってきていないんじゃないかという危惧の気持ちがないまぜにかんじられるのです。
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