【芝居】「試験管ベビーの勧進帳と身替座禅」
2018.9.29 10:00 [CoRich]
30日までまつもと市民芸術館、小ホール。60分はちょっと超えて70分弱。
歌舞伎の人気演目「勧進帳」 (wkipedia)と 「身替座禅」(参考) 歌舞伎がどういうものか、勧進帳という演目の背景から登場人物が誰なのか、どういうところが見所なのかのポイントを押さえた解説の役割を口上に持たせて。 芝居の演目というよりは観客に向き合う解説の役割を担う弁士のような立場を一人置いて、解説とダイジェストで構成されたよう。
「勧進帳」は勧進帳の読み上げ、山伏問答、弁慶が主君を金剛棒で叩くなどをみどころをつまみながら。 観客参加といいながら大向こうのかけ声。「中村屋!」みたいなおなじみのものから始まってやがて「湖池屋!」が混じっためくりで指定した言葉を観客に叫ばせる趣向。口上を述べるところの決めぜりふは原文のままにしたり、「ここが見所」と指定して見せたりと、どちらかというと教材のような内容と、観客参加の楽しさを併せ持ち、気楽なだけではなく教育用のコンテンツとしてもよさそうな一本になっているのです。
単に翻案ではなく、原文のままで見所をつまんで見せているというのがなかなかよくて、原文のもつことばのリズムの楽しさを体感できるのです。物語の終幕は元とは変えている、ということを明示してすぱんとオチにするのもまたよくて。
「身替座禅」の方はワタシ初見の演目。 遊女に会いに行きたい男、奥方にばれないように代わりを置いて座禅を組ませてという身代わりの話。 歌舞伎のフォーマットは既に慣れた状態のところに、あまり歴史的な背景にたよらなくていい演目で、むしろ現在の私たちのコメディの文法でもわかりやすいような物語。解説はややすくなくなって、かわりに物語がどう進んで行くか、ということを補助的に弁士が挟んでいくことで、物語全体のリズムは止めないままに一本通しでみたような満足感。
もちろんホンモノの歌舞伎とはちがうものなので学校の芸術鑑賞としてはどうか、ということはあるけれど、予習的にこういうフォーマットのものがあるのはとてもいいのではないかと思ったりもします
気楽な仕上がりとうばかりではなく、スピーディーなテンポ、リズムの楽しさなどが美点の一本なのです。
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