【芝居】「彼岸花、咲くころ」幻想劇場◎経帷子
2018.9.28 20:30 [CoRich]
まつもと演劇祭の常連団体、経帷子。客席に四方囲まれた舞台の濃密な一本。深志神社。
乳母車を押しながら大切なものを探し続ける赤い服の女。母親を探し続ける少年。彷徨い続けるうちにムカサリ絵馬を売る男と出会う。
白塗り、赤と白、闇のコントラスト。幻想的ではあっても序盤は母と子ということはわかっても実際のところその繋がりまでたどり着くのはちょっと時間がかかる感じ。何が起きてこの状態になっているのか徐々に思い出すかのように、物語も徐々に輪郭が見えてきます。なるほど観客も登場人物と同じような気持ちで進むのです。幼くして火事で亡くなった子供、生き残り後悔する母親。火事の原因は子供が遊んだ線香花火の残り火で、それを紙の宝箱に仕舞って起きた失火。
時折挟まる母親の両親と犬はコミカルな仕草でリズムを作りながら、しかし、冬なのに暑い、ずっと食べてないなど、やはり火事で亡くなったことが示されながら、しかし死んだことを認識しないまま彷徨っているようでもあります。
ムカサリ絵馬(wikipedia)という、鍵となるモチーフ。幼くして亡くなった子供を絵や写真で架空の相手との婚儀を描くというそれ。ちょっとグロテスクな感じもするけれど成長していた子供の幻をみるようだ、という一点に向かって進み始める後半は推進力があって、強烈な印象を残します。
とりわけ、終盤、幕がおちた向こう側には金屏風。亡くなった子供の横に並んでいるのは花嫁姿となった母親の姿。成長して花婿となった息子の隣に居るのが母親、というのはすこしばかり近親相姦的ではあるけれどしかし、成長する前の子供ゆえに母親とは完全に別れたものではない、という「気持ち」の捉え方はワタシには不思議と腑に落ちて感じられるのです。
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