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2018.10.16

【芝居】「イーハトーヴの雪」「前夜」Gin's Bar

2018.9.29 13:30 [CoRich]

仙台からの劇団。震災をめぐる人々の物語を二本立て上演。30日まで上土劇場(元のピカデリーホール)。

ブルーシートが敷かれブロックの上に置かれた棺桶。行方不明の妹を捜し日参している男が隣に、しかし妹ではなかった。他人とわかっていながら、隣に座り、お茶を飲んだりしながら話しかけたり似顔絵を描いたりする。妹に渡すはずだったホワイトデーのマシュマロも「イーハトーヴの雪」
結婚式前夜、新郎の家を訪れる新婦。軽口たたき、明日のことを話している。新婦は姉と両親を一度に亡くしている。新郎は披露宴の席を4つ増やしたと伝える。新郎は新婦の姉の婚約者だった。「前夜」(1)

初めて拝見する「イーハトーブ~」。 ほぼ一人芝居、めいっぱい方言の語り口。津波から逃げられなかったこの女性の生き方に想いを馳せながら、自分の妹のそのときの状況を想像する一種の自分語り。遠くに住む母子家庭、親子は二人は会えたはずだという気持ちの平安、本当は渡すはずだったマシュマロにおちる雪のようにパウダーシュガーの小さな小さなジオラマのよう。仮ごしらえの棺の前というごく狭い場所にちゃんと世界が作り込まれる芝居の醍醐味。

今年初めに拝見した「前夜」は、前半に比べると若者の標準語に近い言葉の二人芝居。こちらもまた震災で運命が大きく変わった人々の物語。話のなかから新郎新婦と亡くなった婚約者と両親という関係が徐々に見えてきます。披露宴前日に追加した4席、つまりもう1席はというのもまた小さな感情の起伏。肉親を失い一人ぼっちになった新婦とそれを支えた新郎、ということなのだけど、もちろんそこには葛藤があるのだけれど、人生は生きていく本人のためのものなのだ、というシンプルなメッセージにもなっていて力強い。

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