【芝居】「サンパティック☆ブロンコ」Q+
2018.9.15 14:30 [CoRich]
休憩10分を含み135分。ワタシは初見の劇団です。17日までラゾーナ川崎プラザソル。
女だけの踊りの旅一座。さまざまな場所を巡る。蚕と絹が唯一の産業の貧しい国を訪れた一座の一人は、地元で働く若い男と一夜の恋に落ちるが、翌朝、踊り子は一座とともに去る。一年後、再び訪れた一座の女は男に男児を預けようとする。一年前のあの夜の子なのだという。一座には男児は捨て、女児は奪って手に入れるという掟があって助けた一心だが、男は女とその子供とともに、駆け落ちすることを選ぶ。
二十年後、駆け落ちした二人には三人の子供ができて旅の一座を旗揚げしているが、女が元居た一座を避けるようにしちえた。養蚕の村の村長が迎えた妻は民衆の貧しさにもかかわらず、贅沢が好きで、蚕の糞を爆薬の材料とすることを聞きつけ、必要な木材を神の木と呼ばれる大木を切り倒して手に入れ、この国の王に仕える元神父と結託しようとする。近隣の国から土地を奪えばずっと楽になると考えている。
歌やダンスわりと本気に交えた構成。盛り込まれるダイナミックなダンスをいくつも挟み、逃避行を続ける家族の一座、持つ物と持たざる物の格差、貧しい国の生存戦略としての兵器開発などの要素を盛り込みながら、愛情と駆け引きが渦巻く大河な物語を描きます。
女だけの一座を女児の略奪で成立させていることも、にげる人々をおとりに使うことも、武器を手に入れ略奪を画策することも、個々に観ればどうしても善悪があるけれど、それぞれに持っている正義を感じさせるだけの説得力。もっともその描かれ方の深さにはどうしても差があり、すべてが切実なものとして感じられるわけではないけれど、わりと人数の多い芝居では正直それは難しいのもわかります。
舞台中央奥には端切れをパッチワークして柱状に作られたものが物語の鍵の一つとなる大木を模して立てられ、角材で作られた立方体と、それを二つに分割したコの字状のフレームを切替えながら、劇場、一座の団欒、村長の家などいくつかの場所を作り出していきます。抽象的でシンプルな割に見た目ががらりと変わる美点はあるものの、正直にいえば切替えは意外に煩雑で場面の切替えで物語のリズムが寸断されるように感じるのはちょっと勿体ないところ。寸断のもったいなさといえば休憩もそうで、何か理由があるのだとは思うけれど、休憩をなくしてあと10分削って一気に観たいなというのが正直なところ。
ことさらに「社会人劇団」を謳うプロモーションなので、もうすこしサークル発表会的な物を想像していったけれど、失礼ながら思いのほか重厚でパワフルな舞台の熱量、きっちり乗れたのが嬉しい誤算だったりするのです。
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