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2018.09.05

【芝居】「Nf3Nf6」パラドックス定数

2018.8.26 18:00 [CoRich]

2006年初演2007年の別団体での上演2011年の再演に続いて。

先週の公演とはうってかわって、L字型にくまれた客席、黒板となる壁、横長の舞台は初演を思い起こさせます。 捕虜収容所、ナチスの将校と捕虜の数学者。同窓で互いに才能を認め合う知り合いだと気づき、しかし今の立場はずいぶんと変わってしまっていて、しかし命は助けたいという窮余の一策の一部屋のものがたり。

強固と云われたドイツの暗号が筒抜け、その暗号を作ったものとそれを解読したものの対峙。しくみは二人の間で共有できていて、それはどうしてそんなことが思いついた、どうして解読に至ったといった人に対する興味。この戦争がどうなってしまうのかも薄々わかっていて、それなのにまだ捕虜の射殺は続いていて。

ドイツの暗号機械・エニグマ (wikipediacnetwebのシミュレーションは楽しい) を巡る史実に、もしかしたらその作者と解読者が知り合いで再会していたら、という作家の想像力を忍び込ませた物語は息詰まる二人芝居。大学では自分と同じレベルの友人が居たのに、戦場では狂ったキングを担ぎ、実際には自分一人が背負うしかないという気が狂いそうな状況の中、捕虜の中にかつての友人を見つけた将校は救われたのか。もう一つの物語、解読し、おそらく暗号を作り出したのは知人だと確信し、むしろ裏切る方向に解読を遅らせ、手加減していく捕虜の側の物語。解読は間違いなく正義だけれど、親友を助けたいと思うあまりのこと。

終幕近く、チェスや数学は美しい世界、人を殺さない、が人を生かしもしない残酷な学問だという台詞の実感はないけれど、厳しいゆえにできる人は少なくて、だからこその親友だという深さを感じるのです。

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