【芝居】「お茶と同情 Tea and Sympathy」フライングステージ
2018.8.11 16:00 [CoRich]
ゲイを公言する劇団の新作。濃密でちょっと勉強になるのに楽しく見られる75分。 12日まで。
高校に実習生としてやってきた男は、校長副校長に全校集会の挨拶で自分がゲイだとカミングアウトしたいというが、教職員の会議でそれは伏せておくことになる。受け入れる国語教師もゲイだが学校ではほぼ明らかにしておらず、どちらでも自分で決めればいいと寄り添いながら、見守っている。
養護教諭に呼ばれた教師はそこで保護者に紹介される。シングルマザーといっているが、実はレズビアンカップルなのだという。
実習生は最後の授業で夏目漱石「こころ」をとりあげて無事に実習を終える。翌週挨拶をしたいといって再び学校に現れるが、生徒からホモだとヤジられる。受け入れ担当の教師は生徒たちを強く叱責する。
副校長は同性愛を忌み嫌っているが、レズビアンカップルの保護者に招かれて食卓をともにして、久しぶりに人と食事をする家族を思い出す。
同性愛の愛情のありかたというよりは、同性愛者たちがどう生きて暮らしていくか、今の日本に足りなかったり逆風なものを丁寧に整理してぎゅっと濃縮、箱庭のように全体が俯瞰できる、教科書のような一本。
LGBTに対しての偏見を持つ人々、受け入れる人々それぞれの存在、BLといってそれを「消費」する人々と、若い頃の一過性の未分化な感じ。パートナーシップ制度、パレード、カミングアウトやアウティング。ワタシは知識として知っているだけのさまざまな考え方や行動、受け止め方が本当に無駄なく詰まっているのです。その知識のほとんどは、この劇団に教わっているとも思うのですが。
。 主役となる国語教師は少しコミカルで、アウティングされても困ったなと見せられるぐらいの強さだったり、年齢が高いからこそ、若い同じような人々を全力で守るのだ、という作家自身の矜持にも感じられます。演じた石坂純はその厚みと軽やかさのバランスを絶妙に。 実習生を演じた井手麻渡は若いからこその希望に満ちて何事も乗り越えられるという感じがキラキラとまぶしく、しかもカッコイイ。養護教諭を演じた清水泰子はどっしりとしなやかに、優しい存在をきっちり。
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