【芝居】「レプリカに捧ぐ」牡丹茶房
2018.8.18 19:30 [CoRich]
19 日まで王子スタジオ1。80分。実は初見です。
倉庫のような部屋。女がさらわれて来て目を覚ますともう一人の女が居て、少し前にさらわれてきたのだといい、憔悴しきっている。時々現れる男が持ってくるわずかな食料と、反抗すると暴力を振るわれる過酷な環境の中、数週間を一緒に過ごすうち、二人は友人としての関係を築き始める。
ある日、もう一人の女が迷い込んでくる。この場所のことは知らないようで、男はよく知っているようだ。
シャッターで塞がれ、遅れた客は入れない空間での物語。閉鎖された空間で監禁された女たち。序盤は監禁や環境の過酷さ、状況次第では暴力を受ける恐怖という空間の説明に。中盤で女二人だけで助け合おう、あるいは脱出しようという連帯の気持ちの発芽。中盤やや経ってからは、もう一人、なにも知らない女の登場で、この苛酷な状況がくるりと裏側を返して見えてくるのです。
ネタバレかも
終盤では、最初にこの場所に閉じこめられた女がが実は全てを掌握している存在だということがあかされます。恋人に手痛く捨てられ、次の恋人となった女を監禁することだったり、その恋人を殺しバラバラにして日々の食事にしたような演出も、実は箱庭のように彼女の筋書きだということが明かされます。
正直に云えば、 閉鎖された場所に監禁された女の恐怖というモチーフ、女性が必ずしも被害者ばかりではなくて加害する側に立つかもしれないことのバランス。女の怨嗟が物語を駆動するのだけれど、その幇助をする男はなぜそうするかに至ったかについて、妻の育児放棄を助けてもらったということがあったにしても少しばかり説得力に欠ける気がしないでもありません。あなたを助けるためには自分の全てをなげうってもいい、と慰めた熱情はその瞬間きっと真実だったに違いないのだけれど、その言葉通り、夫婦が逃げ出し封鎖され続けていたこの場所で、生き残った女が、女の残した言葉通りに行動してきた、ということの極限状態。
物語の全体の雰囲気はじっさいのところ、監禁をモチーフに耽美が香るような雰囲気。とりわけ、ホットパンツ、しかもそれをすぐに脱いでナガT一枚で過ごす女の太ももの色香は強烈な印象で、ちょっと判断力を失うワタシです(なさけない)。演じた赤猫座ちこは、おびえ続ける高いテンションを長い時間はもはやスタミナの領域。ここに居た女を演じた藤丸千は、ほとんど顔を見せないうつむき加減、か細さの中に香る不気味さしっかり。
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