【芝居】「キシカンミシカン」螺旋階段
2018.7.21 15:00 [CoRich]
22日まで神奈川県立青少年センター。
雨宿りする男女は初めましてと挨拶をするが、女は何かを知っている。あるいは、最近露出が減っていた女優が引退する会見、その理由を尋ねられて「むなしさに気づいて」という。あるいは、戦場で人質をとり悪いことをしようとしているレジスタンス風の人々。
男女はコスプレ風に着替え、土管の中で地下へ潜る。そのなかの人々、さらわれた人々を救うヒーローは彼しかいない。
正直に云うと、私にはそれぞれの要素がどう組み上げられているのかが今一つわからなかったので、上のあらすじにしても、これから書くこともどれだけ間違っているかわからず恐る恐る書くのですが、にしても、作家が明確に津波と創作にまつわる意識の遷移をさまざまに表現していて、そこから観客が何をすくい上げ感じ取るかはかなり大きな振れ幅がある気がします。
おそらくはこの物語の世界は小説家か脚本家か映画監督が描いた世界の断片。その世界を作るために必要だったけれど実現できない女優の引退会見は作家がみている現実の世界のひとつ。戦場や地下の人々がある日突然ひどい目にあう、というのは津波に「さらわれた」人々を想像するもう一つの現実で、作家はそこから書けなくなっている。雨宿りで出会い、配管工の兄のゲームキャラクタは「さらわれた人」を救うヒーローで、弟はそれを切望する作家の気持ち。と読みとりました。
少ない役者がいくつかの役に入れ替わりながら、時に絶望を描いたり、ときに希望を託すものを描いたりという断片。整理がつかないわさわさする気持ち。
それぞれのシーンは時にボヤキ漫才風だったり、無茶ぶり男のコミカルだったりとおもしろかったりもするのですが、正直に言えば全体の流れでそれぞれのシーンがどこにハマるかわかりやすくはなくてワタシは少々戸惑います。繰り返し観ることでわかってくるものもあるような気はするけれど。
配管工兄たるヒーローを演じた大島寛史、すっくと立つ頼りがいあるような反面、水野琢磨との二人港町のシーンでのちょいとぼけ倒す刑事とのぼやき風のシーンが楽しい。女優を演じた岡本みゆきは初めてのショートな雰囲気が凛々しく。記者を演じた木村衣織は強く追求するキャラクタ、ホテルの従業員を演じた大塚夏海は対照的に柔らかな雰囲気。
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