【芝居】「真空家族」Nana Produce
2018.8.11 19:00 [CoRich]
19 日までザ・ポケット。120分。
山奥、公園を作ろうとしているが事故が起こり、滞っている。パパ、ママと呼ばれる男女が社会になじめない人々を預かって暮らしている。NPOでクラウドファンディングを立ち上げているがうまくいっていない。
タオルをかぶった女、ギターを弾いて曲に乗せないと喋れない男、俊足で日本記録を持ってる男。
長い間連絡の無かった女の姉が友人とその息子を連れてきた。何もかも見通すよう、
地元の男たちは集会に来ないことを快く思っていない。公園を管理する団体が公園をつくるためにこの団体への加入を勧める。
ありえないシチュエーションとありそうな断片を組み合わせた物語、一癖もふた癖もある人物をきっちりと演じる役者、濃密に作られた舞台で見応えがあるのです。
さらわれてきた女を、さらってきた男が殺そうとした場所、何十年か経ち、二人で住みNPOを立ち上げ社会に馴染めない子供たちを預かって収入を得てるがラクではなくて、地元のコミュニティにもあまり繋がらず、NPOの目玉に公園を作ろうとするが許認可のことを知らず新たな出費が出せなかったり。公園とかNPOとか社会になじめない人のコミュニティは何かのやっかい払いみたいな雰囲気でもあります。
物語の柱となるのはさらわれた女が肉親にも連絡を取らないまま男と日々を暮らしていることで、父親があまりにも怖くて逃げ出してきたと言う背景が中盤で描かれます。久々に連絡してきた姉、父親は介護が必要になり、しかしちゃんとそれなりに余裕のある暮らしをしていて。
コミュニケーションが巧くとれないような預かった子供たちとの微妙なバランスをなんとか維持してくらしていた中に新たにやってきた男は、慇懃無礼なんでも見通すような不愉快さでサイコパスな人物で、猟銃を手にして企てるのは、コミュニティの一人の女性への好意から直すために足りない恐怖を与えるのだという思い込み。
この山にいる巨大な主、は殺人のような混乱が起こる場所に現れ、おそらくはそれを鎮めて。それは何十年か前に連れ込まれた女が殺されそうになった時にも起きたこと。すこしSFめいた超越する存在が山の中で人々を見ているという描き方は自然への敬意と恐怖の入り交じった、原初的な人間と自然の対峙の在り方で、それはおそらく私たちが忘れつつあるものだ、と思うのです。 とはいえ、コミカルな部分も多く、ちょっとイラっとする人物がこれでもか、というてんこもり。 ママと呼ばれる女を演じた雛形あきこは年齢を重ね全体を仕切るようになった女の説得力でかっこよく。パパと呼ばれる男を演じた浜谷康幸は情けなさが勝る造型、女とのコントラスト。姉を演じた水町レイコは背景を説明する重要な役、苛つき続けて話すというかなり負荷のかかる役どころだけれど、説得力があって、印象に残ります。地元の男達を演じた今井勝法、吉村公佑は、コミカルでがさつだけど、ちょっと女に下心があるのが可愛らしい。
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