【芝居】「明日、つぐもの」シアターTRIBEプラス
2018.7.7 14:00 [CoRich]
シアターTRIBEプラス、と銘打ち客演も加えて。115分。8日まで上土劇場(ex. ピカデリーホール)。
異星人が降臨し島を占拠し、シールドで覆われていて政府も手出しができないまま3年が経っている。国民の不安は高まり、侵略を目論んでいるという人々が増えている。アメリカの新兵器で抑止の目処が立ち、攻撃開始まで数時間が迫っている。
地方の小さな劇団の事務所、主宰が姿を消して公演しないまま数年が経ちっている。ある日重大発表だとして劇団員に召集がかかる。久々に再会しそれぞれの暮らしも少しずつ変わっている。この事務所に主宰に客演に呼ばれた、という若い女が現れる。
序盤は公演をしないまま数年がたった劇団の人々の久々の再会でそれぞれのキャラクタを。前説で異星人の排斥を無邪気に訴える女の位置づけ、 最初にロッカーから現れる謎めいた女の存在は後半から明らかになっていきます。突然現れた異星人、災害のように現れたために不運な犠牲者も居て、知らない相手だから追い出すべきだという世論が普通になりつつある時代という背景。描かれるのはその中の一筋の希望なのです。
母星を失い宇宙をさまよい続ける人々、高度な科学技術を持ち、行くさきざきで戦争になってしまう反省を経て、地球人に対しては圧倒できるにも関わらず、共存を目指したいという異星人。地球を訪れてもやはり排斥の流れになりつつあって、しかし共存の道を探り種を蒔く物語。それは壮大で、理性を信じる力にあふれているのです。
それは現実の私たちから見える難民とその受け入れの話にも繋がることだけれど、現在はそれが排斥に向かいがちな現実。そういう意味ではこの物語は古きよき、そして余裕のあったアメリがの「宇宙大作戦」のテイストともいえるのです。もっとも、「宇宙大作戦」は地球人がさまざまな星を探検に訪れて時に摩擦を生みながらという話だけれど、今作はさかさまに、未開の地・地球を訪れた高度な文明人という視点なのです。そう、私たちは決して先進的ではないということは今の日本にも繋がるのです。
という小難しい話はあるにせよ、おじさん世代のSF好きにはフックするポイントも盛りだくさん。劇団名のMATは帰ってきたウルトラマンのアレっぽいマークだし、ワンダバな曲だったり、ロッカーから煙とともに出てくるのは蠅男(というか The Flyか)だったり。
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