【芝居】「遠吠えの、コマーシャル」遠吠え
2018.7.14 20:00 [CoRich]
上演予定の15分ほどの短編または芝居のサワリを上演し投票する企画公演。全体で70分ほど。16日までSCOOL。
工場。男たち、社長の娘はお茶を出したりしている。年上の男に金を無心されている。年下の男は優しい。「コントロール・アン・ア・アン・アン・コントロール」
四人の女子高生。進路希望を書くアンケートが書けずにいる一人を三人が待っている。一人は一緒にライブに行きたい。ほかの二人は早くかえって大判焼きでも食べたい。世界平和、とアンケートに書く。「ギャル」
彼氏が猫になってしまったといい、トリマーの友人を呼びだした女。確かに猫になっているし砂をトイレにしているらしい「猫の呪い」
姉妹が部屋にいる。父親が居るはずだが、ホームランバーを買いにいきたいという妹は抜け出せるといって窓から出て行く。「朝子さんと夕子さん」
15分の短編を上演する企画はほかにもあれど、起承転結や物語として成立しないシーンを並べる、というちょっと珍しい企画。ブラッシュアップのためのリーディング公演などと同様で、どこに観客がヒットするかというのを試演し、(とりあえずとはいえ)レイティングするのはいいアイディアだと思います。
「コントロール〜」は何かの弱みを握られたかと思うほど従順に金を渡す女、その金で遊んでいる男、若い優しげな男の三人の芝居。工場の休憩所で男二人の関係、年上がキャバクラ好きだという説明、そこにお茶を持ってくる女のある種の立場の弱さ。そして二人きりになり金の無心、短い時間の中で関係性もこの場の問題点もきっちりと説明する確かな力。コーヒーの甘さがどうとかというちょっとしたフックが、この三人のなかにあるもう一つの気持ちのつながりを露わにしていく終幕も見事なのです。
「ギャル」はワタシがもっとも好きな一本。ギャルメイクばりばりの二人と、ロック好き×ちょいダサな二人という明確に違う二組。地味めな一人が信じてるという世界平和、見た目にもっとも派手なギャルがそれを信じ切っているのに、もう一人のギャルは冷笑し、ロック好きはそれは叶わぬ夢と信じていたい。パワーバランスというよりは二人×二人という枠組みがぐっと変化していくダイナミズムにわくわくするのです。そこにちょっと嫉妬が混じったり、心はもうライブハウスなのにチケット無くしてテンパるなど、ちょっと若くてまぶしくて、しかし私たちの年代からみても地続きな感じもあるダイナミックレンジの広さも見事なのです。
「猫〜」、ホラーと銘打つ一本。彼氏が猫になっちゃったというある種のファンタジーの枠組みのおもしろさ、猫まねがどれだけ笑いをとれるかみたいな側面もあるけれど、物語としての芯があるのは、その猫の呪いがどうして起きたかの一点。この短い芝居なので、それは最後の二言、三言と終幕直前の一瞬に集約しているのでちょっと油断するとわけわからなくなる危険性はあるけれど。
「朝子さんと夕子さん」は、ワタシ的には物語がちょっとピンとこない感じではあります。が、おそらくは妹が実は存在していない、という話なのかな、と創造するワタシです。15分の範囲の中では、だからどうなのか、あるいはどうしてそうなのか、と言うところまでは、ワタシ読み取れず。物語として成立させるためにはもう少し時間が必要だと感じます。
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