【芝居】「Next Move」serial number(ex 風琴工房)
2018.6.23 18:00 [CoRich]
風琴工房(検索しやすい名前で有り難かったのだけれど)が名前をserial numberと変えての再出発。いちどクローズドで試演されたものを同じ役者で三本の連続上演。26日まで。60分。The Fleming House
子供の頃から頭角を現し、棋士になることを夢ではなく現実のゴールとしてとらえる若者。中学生になってプロの階段を上るべく入った奨励会からの日々、26歳までに四段に昇格しなければプロになれないという厳しい世界を舞台にして、奨励会に入った頃は天才と呼ばれスムーズに進むし未来は大きく広がっているけれど、それぞれが壁に突き当たり、ペースを崩しタイムリミットギリギリまでかかってしまうのです。
現実の世界ではハイペースで駆け上がる華やかな棋士が世間を沸かせているけれど、それとは対照的に血を吐くやっとの想いでたどりつく、「凡人」の姿。もっともそれは奨励会という場所に居るだけで相当にハイレベルなわけで、そこの中での順位に過ぎないのだけれど、中学生から将棋だけの人生を26歳まで続け、「26歳の無職を作り出す」ということの現実の残酷さという舞台でもがく若者二人の崖っぷちの攻防に手に汗を握るのです。
奔放で「うるさい」将棋を指す男を演じた田島亮は、ひたすらに明るく社交的、ブレザー姿のイケてる感じもらしい感じ。対照的に本当に将棋だけの人生という投資商品、だから荒れた生活で挫折を見せる男を演じた佐野功、冷静沈着な男が時折みせるほころびの可愛らしさが愛おしく。
短い時間の中にテンポ良く、友情と努力と勝利と挫折をぎゅっと詰め込んだ軽快な一本なのです。Next moveというタイトルがまた、この劇団の「次の一歩」とのダブルミーニングににもなって、船出を祝いたいと思うのです。
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