【芝居】「溶けない世界と」mizhen
2018.4.28 19:30 [CoRich]
29日まで、d-倉庫。115分。
知り合いの小さなホテルに籠もり初めて書いた一人芝居を書いた女。俳優志望の知り合いの男に試演させ、その上演を俳優の叔父、その知り合いの小説作家の女に見せる。戯曲を書いた女には聴覚障害があり、ペンションホテルのシェフと不倫の関係にある。ここには長生きしている蜘蛛がいる。
芝居は途中で止められてしまうが、小説家はそれを絶賛すると同時に若い俳優の卵を誘惑する。小説家と俳優は関係があるが互いに恋人も居て距離感を楽しんでいる。
聾者を題材にした芝居で、客席後方にはタブレットを備えた席がいくつかあって、手元に字幕がでる仕掛けも。ワタシは前方席で。
チェーホフの「かもめ」から着想し、男女を入れ替えて紡がれた物語だといいますが、恥ずかしながらその「かもめ」未見なワタシです。物語を作る人、演じる野心家、都会の洗練された人、地元の気のいい人。そのコントラストで人々を群として描く物語に、ふたりの聾者というもうひとつの軸を交えて、分かり合えない溝を描いてるのだと読んでみたけれどどうだろう。
聾者ふたりの間の不倫関係、子供をほしいこと、都会からの二人の愛情とは違う距離感の男女の仲とか、さまざまな距離感である種のインモラルを交えて男女のありかたを提示してみせるのは、まるでたくさんの線を重ねたデッサンのよう。明確にこれを描くということはいわないけれど、浮かび上がってくるものが、どれかはヒットしそうに思うのです。蜘蛛は女の側からの何かの欲望といったものを象徴的に。
若い作家を演じた小角まやは圧倒的にすっくと自立する格好良さ。気のいいおばちゃんキャラはちょいと珍しい気もする百花亜希の伸び伸びとした役の嬉しさ。役者をしている叔父を演じた安東信助は重厚さと軽薄さを併せて描いて失礼ながら存外に良くて、実は一番の収穫だったりします。
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