【芝居】「秘密の代償」「冷凍みかんと夜の灯火」ネオゼネレイター・プロジェクト
2018.3.25 15:00
[CoRich]
稽古場機能として使われることの多い横浜ベイサイドスタジオですが、実験室と称してごく小さな規模で継続的に上演の試みの一回目。休憩時間にビールまで配って大丈夫かしら、いろいろ。25日まで。
別荘に逗留する夫婦と長男、若い小間使いの女。タンスの金をくすねた女が暇乞いをするが、妻は夫か長男のどちらかと何かがあったと勘ぐり一計を演じて罠をかける。「秘密の代償」リーディグ(青空文庫)
列車の中4人の乗客、他人どおし。突然列車は止まり照明が消える。車掌がランタンを置き、会話が始まる。骨壺を持つ男は亡妻とともにかつての旅を思い出して乗っているのだという。
「冷凍みかんと夜の灯火」(1)
12人のいかれる男を。「おのまさし独り芝居予告編」
ワタシ初見の「秘密〜」岸田國士らしく、女性からの視線と勘ぐりが物語を駆動します。身内とはいえ男どもは、若い女相手なら理性は心許ないし、しかしそれなりに大きな家の嫁としては嫉妬や心配よりも、どっしりと構えて家の体裁をどう繕うかということに腐心しなければならないということ。その時代、その階級の家や男女のありかたで、現在ふつうにある形とは決していえない世界なのに、全体を見渡すとまったく古びなくて瑞々しいぐらいに、やけにリアルさを感じるアタシです。もちろん世界を構成するルールは現在のそれとは違うけれど、そのルールの上で、そう考えるかもしれない、そう行動してしまうかもしれないと感じるぐらいに現在の私たちにどこかでつながる「人の描き方」のリアルさが魅力なのです。
「冷凍みかん〜」、初演を観てるはずですが例によって記憶がザルなワタシです。SF好きの作家・大西一郎がそこからノスタルジーに4+1人で広げる物語は優しくて心地いいのです。宇宙飛行士として命を落としいまも天高い場所にいる妻への想いをもつ男、中学教師、何かが見えている女、何かを隠し持っている男たちの物語。列車が緊急停車して止まり、照明も消えてしまった薄暗い中、ランタンの炎を前にそれぞれがぽつりぽつりと始める自分語りの奥深さも持ち味なのです。
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