【芝居】「ケーフェイ。」ラニョミリ
2018.4.6 19:30 [CoRich]
90分。ラゾーナ川崎プラザソル。
大人気で海外進出をも見えていた中、勝てるはずだった大きな一戦を落とし、そのまま引退した女子プロレスラー。結婚したが子供を亡くして、20年が経ったある日、かつての団体から「忘れ物を探して一人の女が現れる」という招待状が届く。会場には長い間謎とされていたその試合の関係者が集まっている。
プロレス用語「ケーフェイ【kayfabe】」をタイトルに掲げ、フェイクとか作り物といわれがちで、鉄板のはずだった試合の大番狂わせの一戦から何十年、そのときの人々が本当に久々に再会して、みんな確実に歳は重ねたけれど、プロレスの世界で頑張り続けてる人々も、雲隠れするかのように引退したレスラーも、あるいは裏方の人々みなが、心のどこかに刺さったままの棘を抱えたまま時間を経て、それが溶けていく瞬間という描き方は、若い人々よりは年齢を重ねた人の方に寄り添うようなワンイシューで物語を進めます。
もっとも、それほど若い劇団ではなく、役者もそれなりに年かさだったりするので、その役者たちにはよくあっている感じ。正直にいえば必ずしも巧い役者ばかりではないし、ノスタルジーに過ぎる物語には好き嫌いが別れそうなところだけれど、歳を重ねることで積み重なったものという厚みは確かに語られるのです。
クール、というリングネームを持つ伝説のスタープロレスラーを演じた 藤田るみが実に格好よくて、女子プロレスの説得力をほぼ一人背負います。マネージャーを演じたキクチトシオは軽やかで自然体な雰囲気に魅力。
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