【芝居】「高校演劇マルシェ」高校演劇マルシェfeat.劇作家女子会。
2018.3.31 16:00 [CoRich]
劇作家女子会の作品を高校演劇部が上演する企画公演。約60分を二本というのも高校演劇らしいフォーマットで。3月31日まで、中野あくとれ。
通信・定時制の高校文芸部・ドラマ班。なかなか学校に来なかったりピアスまみれだったりする生徒たち。地区大会で上演したシリアルキラーの話はさんざんな評判で審査員は作品以前にその戯曲を選んだことを詰られ、審査員も世間も自分たちを向いていない、と感じる。「※この高校4年生はフィクションです。」(作・モスクワカヌ 上演・大阪府立桃谷高校文芸部ドラマ班」
上品の校風で知られる高校で評価を貶めるとして虐げられるオタク達の死闘「絶対恋愛王政」
(1,
2)(作・坂本鈴 上演・岩手県盛岡市立高校演劇部)
現実に彼らが通う高校を実名で舞台にして、学校に通えなくなった生徒たちが転入してくることが多く、いわば「普通だと思われる道」からはドロップアウトしたと感じている彼らの物語。おそらくは実際に上演された「だるまかれし」(1)にまつわる審査員のことも実話(フィクションだけど)で、高校演劇の上演では「等身大」の自分たちを語るような物語を求められるけれど、それは審査員や大人たちの考える「ぼくの考えた最高の高校生」ということであって、求められる「普通の等身大」にたいしての大きな反発が物語を駆動します。
おとなたちが等身大だという世界ではいじめや挫折も克服されたり解決されるけれど、神も仏もない自分たちの現実はなにも解決されないし、世間は自分たちに向き合っていないと感じているという世界観。前途洋々の青春時代のはず、もちろん日々は楽しく暮らしているように見えるけれど、世間から向き合われていない、無いことにされていること、自己評価が低く、静かに世間に絶望しているダウナーな雰囲気、これが作家を含め彼らに見えている世界なのだ、ということに愕然とするのです。一方で同情が欲しいわけではないと凛と立つ姿の力強さ、他校の生徒が認めてくれること、「生きたい」とシンプルな一歩の希望のコントラスト。
「絶対〜」は、劇団・だるめしあん名義で何度か上演されている一本。上品な校風で知られる高校、評価を貶められるとして、虐げられるオタクたちと、この佳い校風を守り続けたいという生徒会の女生徒たちの一騎打ち、という体裁だけれど、いつしか引かれあう男女、ロミジュリの風味もあって、デフォルメの聞いた世界観の面白さはそのままにきっちりと。ここまでのデフォルメは役者の力づくで押しまくることが必要で、そういう意味で全ての役者がそのパワーを持てていたわけではないのだけれど、生徒会長を演じたちゃこの立ち振る舞いを記号的な面白さできっちり。アニメ研究部部長を演じたこうしはパワー押し、きっちりと背負います。 ※当日パンフには本名らしいものもあるけれど、CoRichでの表記に合わせます。
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