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2018.02.06

【芝居】「源八橋西詰」T-works

2018.1.27 14:00 [CoRich]

女優・丹下真寿美のユニットの旗揚げ。 98年初演作を後藤ひろひとの出演も嬉しくて。95分。大阪の後、28日までBONBON。

きちがい屋を名乗り詐病によって無罪にするのだという刑務所に接見に来た男。 座長から命ぜられて看板女優からお笑い女優に転校させられそうになっている女。 見舞いに訪れた病院のロビーで子供に求められて童話を話す男。 三人はその交差点で人を待っている。

初演は久保田浩、山本忠、楠見薫という遊気舎の看板俳優三人によって上演された名作、ですが、例によって記憶がほぼないアタシです(笑)。

ねたばれするかもしれません。

収監された男と接見する男。多重人格を緻密に詐称することで罪を逃れようと巧みに持ちかける男だけれど、その実は、本物の多重人格者に「緻密にしかし隙のある詐称のふりさせる」ことで確実に有罪に導くという手の込んだ構成のおもしろさ。落ち着いて時折おかしい男となれば、久保田浩のかつての十八番、「羽曳野の伊藤」を欲しがってしまうアタシですが、そうはせずに緻密に人物を積み上げます。坂田聡が演じた「きちがい屋」もまた、ちょっと怪しく、フラットなまま怖い感じの迫力なのです。

女優の物語が少々弱い感じなのも初演と同じ印象。やる気満々なのに劇団としてはお笑いへの転向の無茶ぶり、しかしテレビ局のバラエティ的なオファーに乗る、という構図なのだけれど、お笑いの転向とバラエティ出演というアイテムが「悪魔に魂を売る」という全体の構図にはまらない気がして違和感を感じるアタシなのです。 もっとも女優を演じた丹下真寿美の若々しい潑剌とした感じは悪くありません。

「人間風車」や「ダブリンの鐘突きカビ人間」の原型が見え隠れする、童話作家の話。醜いカッパが女の子に好かれたい一心で自分を傷つけ続け、涙できれいな姿になって抱きしめられようとしても「醜いままでなければ意味がない」と断るストイックを通り越したあまりに悲しい童話と、その童話を話す(子供に見える)女から物語を搾取しようという汚さが絶妙に濃密に。純真無垢と汚さの対比が、ごく短い芝居の中で相似形をなして二つある見事さなのです。子供を演じた丹下真寿美の子供っぽさ、童話作家を演じた久保田浩の木訥に見えて腹黒さも印象的。

何より、動いている大王・後藤ひろひとを舞台で拝見するのは何年ぶり、何云ってるかわからなかったりと、ごくカメオっぽい出演だけれどリバイバル上演とあわせて嬉しくなってしまうアタシです。

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