【芝居】「目頭を押さえた」 サンモールスタジオ(iaku+小松台東)
2018.2.4 13:00 [CoRich]
2012年初演作、ワタシは2013年のアゴラでの再演から。4日までサンモールスタジオ。
遺影をとり続け、コンテストで全国一になる高校生。モデルの幼なじみ。近くの短大じゃなくて、東京に行きたいという。幼なじみはそれが面白くない。 父親は葬儀屋、亡き妻の住んでいたこの町で仕事をしているが、林業のオジサンは、喪屋を持ち地元の葬儀の形を守っているが、普通の葬儀を持ち込んだことで二人の間はぎくしゃくしている。
語られる方言を宮崎弁に変えたものの、林業による落下事故と死者を安置する喪屋という独特の因習をもつ地域を背景に、この地域出身の妻を亡くして伝手をたどって住むようになった一般的な葬儀屋と地元の因習の微妙な距離感、この土地で育った従姉妹同士の女子高生ふたりの進路と友情をめぐる関係、 あるいは、田舎特有の狭いコミュニティだったりをごく細やかに、役者の人数も実にぴったりで濃密な空間を描くのです。
初演で感じたワタシ自身の熱い感想、役者も言葉もわりと違うのに、今読み直してみても実はあまり変わりません。力のある物語が細やかな登場人物たちを通してきちんと描かれること、その役に過不足のない人数であること、美しさすら感じるこの世界なのです。
初演でも出演したものの違う役である葬儀屋を演じた緒方晋、娘のためこの土地に溶け込みたい一心の腰の低さがちょっと珍しい感じで新たな魅力。林業をいとなむ喪屋を持つ男を演じた松本哲也は不機嫌が勝る造型、この土地で暮らし続けてきた自信と責任が滲む奥行き。妻を演じた森谷ふみはひたすらに明るく快活な、あるいは周りに対して不機嫌な夫の緩衝材になるよう気を遣ってるのだろうなという造形。
教師を演じた村上誠基はコミカルな感じは封印、まっすぐな、しかし若くはないが生徒を想う教師像。家庭教師を演じた斎藤ナツ子は絵に描いたような都会の女性をしっかり。大学生の役だけれど、彼女自身が大学生だった舞台を目にしたのは何年前だ。変わらないことに驚きます。
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