【芝居】「パン屋爆発」FunIQ
2017.12.1 19:30 [CoRich]
数ヶ月をかけたFunIQの連続公演のラスト。年末らしい賑やかな90分。3日まで梟門。
東京から引っ越してきた夫婦が開いたパン屋は圧倒的な人気店になっている。常連客の頼みで貸し切りのクリスマスパーティを開くことになった。隣町で知り合った女を招待し、最高のパンをごちそうしたいのだという。普段は食パン専業だが、気合いをいれて、数日をかけてシュトレンを仕込んでいる。
果たしてその女はやってきたが、姉がついてきている。隣町はこの町を見下していて、仲が悪く、この姉妹は隣町の町長の娘だった。
近所にはもう一軒昔からのパン屋があるが人気がなくなっている。近所に住み込んだ旅の画家はこの町のシロアリに魅せられている。パン屋の職人はかつて東京の人気店で厳しい修行に耐えてきた過去を持っている。
ストイックなパン職人に秘められた過去。一人の男の恋心と、それを応援する友人たち、田舎町と隣町の確執による妨害。寂れたパン屋やらシロアリに魅せられた画家、さらには「バカと味の素」なる旨いけれど馬鹿になる調味料なる飛び道具も数多く、賑やかに進みます。 正直に言えば物語の歩みは早々に着地していて、ドリフよろしく大騒ぎのようなわちゃわちゃ感になだれ込む、という感じ。 終盤の物語の幹になるのは、パン職人とその妻の間のまっすぐな愛情をめぐる物語で、それは ビデオドラッグのような華やかだけれど少々危うい多幸感と現実の厳しさの落差を交互に示して、振り幅のある描き方。確かに賑やかではあって、連続公演の最後のお祭り感はあるけれど、ここまでの公演で積み上げてきたある種の緻密さには欠ける感じではあります。そもそもそういう物語ではない、というだけのことですが。
前園あかりはヤンキー風味な美容師、ちょっとバカっぷるっぽいところも可愛らしい。妻を演じた金沢涼恵は優しく太陽のような存在、終盤のあのワチャワチャの中でも輝き続ける説得力。 辻貴大はチャラくヤンキー気質な男はちょっと珍しい。日比野線は地味な男かと思いきや踊ったり弾けたりとこちらも珍しい。連続公演を走りきった二人、振り幅の広さは間違いなく彼らのちからなのです。
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