【芝居】「ホテル・ミラクル5」feblabo
2017.12.10 16:00 [CoRich]
ラブホテルの一室を舞台にしたオムニバスの人気シリーズ。140分。10日までシアターミラクル。
三人の女が。「ホンバンの前に5」
戦隊の男女二人、緊急出動命令が出るかもしれない前日夜、女はセックスが好きで童貞の男に教えたいぐらいの心意気。「ミラクル戦隊」(作・坂本鈴/劇団ダルメシアン)
演出家の先生と生徒がそのシチュエーションでラブホテルへ取材に訪れる「クロースチーム」(河西裕介/Straw&Berry)
作家、女優、俳優。ベッドの上の男女をテンションがアガるシーンを書きたい作家だがなかなか台詞が書けない。
「やっちゃん×チャーコ+ミズオ」(藤原佳奈/mizhen)
レズビアンで風俗嬢を呼んだ女。デリバリされてきた女は自信がなくて、呼んだ女がリードしている「きゅうじっぷんさんまんえん」(屋代秀樹/日本のラジオ)
ダブルベッドとソファ、テーブルと椅子、小型の冷蔵庫というスタイルはいつものとおり。今回のシリーズは全体に静かな印象で、間が長めにで、芝居としてみると、空白が多い感じがします。
「〜戦隊」は心を開かない童貞男と、それをちょっと弄ぶような慣れた雰囲気どころか、ともかくセックスが好きだというポジティブな女。あの手この手でともかく解きほぐそうとする女と頑なな男の駆け引きがコミカルで楽しい。今回のラインナップの中では唯一笑いに振っていて、見やすくて印象に残ります。出動命令の前日にホテルに男女というシチュエーションなのに、死を目前にした悲壮さはみじんもない違和感もちょっと面白い。
「クロース〜」はセンセイと呼ばれる年上男が手慣れた雰囲気で若い女をリードして、という雰囲気のちょっと鼻持ちならない感じで始まりつつ、しりとりとかじゃれ合ったりとか流れる時間、ちょっと強引に一歩踏み出そうとする男、あるいはトラウマで男が怖いのだと告白する女。ステロタイプに過ぎる定型な流れだなぁとおもっていたら、〜というシチュエーションでエチュードで作り出そうということ。序盤で台詞が出てこない男が「エチュード」という言葉を言うあたりからなのか、そもそもの芝居の頭からが女の嘘なのかわからないけれど、女が強くくるりとひっくり返すのは、夢落ちとも云えるのですが。
「やっちゃん〜」はこちらも書けない女性監督が別の男女を使ってラブシーンを作り出そうとしていて。「クロース〜」が作家自身がカップルの片方になろうとしているのに対して、今作はカップルを外から眺めて書こうとするシチュエーションになっている対比。じつは年増の作家と男性の俳優は恋人なのだけれど、男は最近もう一人の若い女優との関係が進んでいて、というシチュエーション。隠れてつきあってるつもりの若い男女だけれど、監督はそれは承知の上で若い女優を誘って作品を撮ろうとしている、男の言葉を二人が共有していたり、女優の意に反して暴力的に犯そうとしたり。もう最近はこちらを向いてくれない若い男に対するフラストレーションがどんどんゆがんでいくのが、ちょっとホラーな感じすらあるのです。終盤近く、全身タイツ姿のコミカルが入るけれども、やはりホラーな感じは否めないのです。
「きゅうじっぷん〜」は静かに流れる女二人のシーン。風俗嬢はひたすらに自己評価が低く、それをなんとかしようと風俗を始めるぐらいで「人間と交際したことがない」とすら言い出す女。一方の客は手慣れた感じ、ふとつぶやく「アタリかも」という台詞がやけにリアルに感じるアタシです。風俗嬢は人に優しくされる経験、客は自分がレズビアンだということに最近気付いてじつはちょっと戸惑って早口で喋るところを風俗嬢が唇を塞ぐラストが美しい。
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