【芝居】「40歳の童貞男」シンクロ少女
2017.12.15 17:00 [CoRich]
オーラルメソッドと題した複数を交互上演のうちの新作。135分。17日まで駅前劇場。 家電量販店にまじめにつとめる男は40歳になっても未だ童貞だった。休憩室でたむろする三人の男たちが閉店後に店に酒を持ち込んでやっているポーカーに誘われ遊ぶうち自分が童貞であることがばれてしまう。一度は大笑いした男たちだが、やがて応援するようになり、クラブに行って女の子に声をかけたり、吉原のお姉さんを呼んでくれたりする。店に客として訪れた女が独身と知り、断然応援する友人たち。
そこそこに長いけれど、いい歳になっても高校生のようにつるむ男たちの物語。ご機嫌なナンバーがいくつも重なり、ミュージカル風なシーンもあって実に幸せな気分になるのです。 くそ真面目な男を応援する三羽がらすの男たちは女のことばかり考えて自堕落だけれど、あたりまえのようにひと肌もふた肌も脱いで応援する人々。クズに見えるけれど実は善人なのだという味付けが嬉しいアタシです。音楽のせいかいまどきの気楽なデートムービーのよう。と思ったら、これ原作(未見)(wikipedia)があるようで、なるほど。
ここ数作のシンクロ少女のいくつかは、実に愛すべき男たちのバディ感のある芝居 (1, 2, 3, 4) が何本かあるけれど、小劇場の芝居でそれがあまり見られないのは意外な気もします。決してかっこよくない善い男たちが、歌い、踊りながらちょっといい物語を紡ぐというのは、結果としてわりとほかに見られないスタイルを確立しつつあると思うアタシです。
登場人物がみなとても魅力的で、それを支える俳優の選択も見事。 童貞男を演じた諫山幸治は生真面目さが勝つ造形だけれど、職場の男たちとつるむ楽しさもまた楽しく。つるむ男たちを演じた泉政宏、横手慎太郎、野田慈伸はモテ男、ストーカー気質、クスリを常用してる若者なのに熟女にからめ取られたりとそれぞれのダメっぷりが楽しい。クラブで出会う女を演じた田中のり子はビッチさ全面な雰囲気楽しく、デリバリのお姉さんを演じた菊川朝子はあくまで冷静でしずかにいい女、実子・泰然の動じなさも大物の予感。加藤美佐江はなかなか女を感じさせる役は珍しいけれど思いの外ぴったり。シングルマザーを演じた川崎桜はカジュアルで清楚っぽいけれど、連れ込んだりはする若くはない女性をしっかり。 元夫を演じた本井博之はいけ好かない無自覚なマウンティングが腹立たしくもコミカルに。なにより、息子を演じた小日向星一が実によくて、したい!年頃の高校生の幼い性欲全開さと、一人育ててくれている母親への優しさが実にいいバランスなのです。
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