【芝居】「ゴールデンバット」うさぎストライプ
2017.12.2 18:00 [CoRich]
うさぎストライプ名義、菊池佳南の一人芝居。大人になれない、と銘打って。70分。石巻から、★まで春風舎。 亀山浩史の「セブンスター」との交互上演。
うさぎ、昭和歌謡、喪服とコンセプトを変えてきた地下アイドル。マネージャーとの恋仲が噂されながら壊れてからのトークショー。 そのとき、マネージャだった男がみかけた池袋パルコ前でビールケースに上がって歌う女の姿。今の自分はそのパクリという自覚もありつつ、あるライブで客席の奥から側から声をかけてくる女は、会ってなかったけどきっとパルコ前の彼女で、逆にずっとライブに来るようになり、受付に預けられたカセットテープには唄と、何をいってるかよくわからないMCには生い立ちが吹き込まれていた。
街頭で歳を重ねた女がビールケースに乗って歌っていた昭和歌謡というコンセプトをパクった地下アイドル。マネージャと別れて喪服アイドルとしての活動を初めてからあの時のことを語る、という幾重にも重ねるという体裁。正直に云えば、一人芝居にしては少々凝りすぎな感はあるし、いくつかの昭和歌謡で尺を稼いでいるというのはいいのか悪いのか。もちろん女優が割と上手く昭和歌謡というのはもちろん嬉しいオヤジなアタシです。
ビールケースの女は宮城生まれ。東京には何かがあると信じて疑わない幼い頃にやっとの思いで妹を連れて行く許しを親から貰って原宿・竹下通りを何往復もしてしかしスカウトはされず、オリンピック記念硬貨を買ったり、妹は太って引きこもっても自分は東京に出たい一心で大学進学を成し遂げてチャラチャラとサークルの男に恋をして流しのように酒場を回ったりして何も成し遂げられないまま東京でくすぶり続けてビールケースで歌うまでの何十年。
一人芝居でこの歳を重ねたビールケースの女と若い地下アイドルをわりと継ぎ目なく行き来して進める物語。くすぶっていた女が地下アイドルを目にして刺激を受けてオーディションを再び受けて歩き出す、という物語は年齢を重ねても前に進むきっかけはあるのだ、という力強いメッセージなのです。 演じた菊池佳南はこの前ここで観た芝居でもアイドル役だった気がするけれど、やけに似合うのがご愛敬。宮城の言葉で喋るいくつかのシーンの自然さは出身地ゆえか。
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