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2017.12.04

【芝居】「ちょっと、まってください」ナイロン100℃

2017.11.25 18:00 [CoRich]

12月3日まで本多劇場。そのあと、三重、兵庫、広島、福岡、新潟。 休憩込み3時間15分。

金持ちの家族が毎日同じような話をして退屈を持て余して暮らしている。内実は借金がふくらみ続けているがそれを知っているのは妻と使用人だけだ。
その家の庭に乞食の家族が住み着く。乞食の娘は金持ちの家の息子と結婚するのだというが、声すらかけていない。屋敷に入り込むことには成功したものの、お目当ての息子にはフられ、代わりに屋敷の主人に見初められれて兄ともども家に入る。金持ちの妻は捨てられ、乞食に身をやつしている。

ペテン師の語りという体裁で、金持ちと貧乏人が入れ替わる話。 娘を預かったという脅迫電話なのに本人が居て仕立て屋との間違い電話かと思えばその家には娘なんか居ないうえに、この町に仕立て屋なんかいない、といった感じの細かなナンセンスを幾重にも積み重ねて紡ぐ物語。 乞食の娘がこの金持ちの息子と結婚するといっても、会ったことすらない、けれどそれを不思議とも思わず突き進むことで大きく進む物語。 全体の雰囲気は何かの含蓄があるような気もするけれど、するりとそんな解釈をすり抜けるよう。 日本の不条理劇の第一人者、別役実へのオマージュと銘打ち、実に丁寧に、ごくまじめに、食い違ってみたり存在するべきものが存在していなかったりといった物語をきちんと語るのです。

きちんと作り込まれたセットや端々で使われるプロジェクションマッピング、役者たちもみな達者。こんなにも詰め込まれた不可思議でとりとめない話の世界に取り込まれ、浮遊するような感じすら抱くのに、3時間を超える上演時間、不思議と見入ってしまうのは間違いなくこのまじめに作り込まれた緻密さゆえの、一つの世界がそこにあるからだと感じるのです。かと思えば、狂犬病で物語がかき回されて一気にバカバカしくなってみたり。

電柱とか受付といった別役アイコンがそこかしこに。それほど深く知るわけではないあたしですが、それでも気づくのだから、知っていればもっといろいろと原型が見え隠れしたりして楽しそう。

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