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2017.12.07

【芝居】「光合成クラブ・Ⅱ --- 男のいない女たち」菅間馬鈴薯堂

2017.12.2 15:00 [CoRich]

80分。3日までワンズスタジオ。

東京タワーの見える公園。夜の10時。独り者の女たちが集まり酒を酌み交わし、雑談したり歌ったりしている。ホームレスが通りかかったり、ティッシュ配りを練習する若い女や葬式帰りの男が混じったりする。

80分の間に17の短いシーン。もっとも、全体としては夜の公園の連続した時間を描いていてあまり独立した感じはありません。月に一度、夜な夜な公園で安い焼酎を酌み交わす女たち。 酒が進むうちに語られるのは、生活のこと。野菜が高かったり、家賃が値上げされたり、男に縁がなかったりと、厳しい生活を愚痴るような話題なのだけれど、語り口は後腐れ無く実にドライ。作家の持ち味なのです。

当日パンフによれば、何本かに一度書いてしまう「わけのわからない」ものと作家は謙遜するけれど、町の片隅に片寄せあう夜半の風景は確かバラバラとも云えるけれど、市井の人々をみつめる作家の視線はどこまでも優しいのです。

ごく短いシチュエーションの数分の会話劇の断片はどの作家にもストックはありそうです。今作があらかじめ書き貯められたものかは知りませんが。「東京タワーが見える公園」という世界に閉じこめられそうなものを選んで、芝居に仕立てるというのは、ある意味、老練な作家だからできることなのかもしれません。今作に関して云えば、現実の場所を想像させて、若くはない女子たちが集いそうで、ホームレスも通りがかるかもしれない、静かな場所という想像力で設定された場所と、そこに集いそうな人々(もちろん、登場人物と役者のどちらが先に決まった要素かはワタシは知る由もありませんが)を、短い会話劇でつなげていく、しかも時にそれはミュージカルのようでもあるのです。

ティッシュ配りのバイトの練習、家賃の値上げを大家に手紙を書いて交渉する、もんじゃ屋に通う女が同じ常連と初めて会話を交わす一瞬、古い日記の発見、この集いを去るけど言い出せない、亡くした友人を弔った後に気になっていたこの集いに混じる、その間にホームレスが歌ったり、はとバス風のいろんな外国語などのバラエティを。なるほど盛りだくさん。しかし濃すぎず後味すっきりの不思議。

年上の女を演じた稲川三代子はダンスもキッチリでちゃんと安定感。去る女を演じた舘智子は思いの外(失礼)美しくちゃんと歳を重ねた説得力の存在。トラック運転手を演じたシゲキマナミの元気さ、小説を書く植木屋を演じた加古まなみは静かに秘めた雰囲気、若い女を演じた目黒ひかるは元気というコントラスト、踊る男を演じた村田与志行、これだけの大声が出るんだと今さらながら思ったり、年上のホームレスを演じた植吉のヨレヨレ感も楽しく、もう一人のホームレスを演じた加藤和彦は偽外国語の圧巻、タモリの四カ国語麻雀を思い出すアタシです。葬式帰りの男を演じた西山竜一は圧倒的に格好良く、なるほど女子たちが色めき立つという説得力。

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