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2017.11.11

【芝居】「しゃぼん玉の欠片を眺めて」TOKYOハンバーグ

2017.11.4 18:00 [CoRich]

劇団は初見です。7日までサンモールスタジオ。120分。

三人の子供が家を出て、妻を亡くして一年、一人暮らしの老人。近所にあるハウスクリーニング会社を試し、定期清掃が月一回から週一回に増えている。長男は結婚し息子は時々この家を訪れている。長女は夫を亡くして娘の就職を控えているが、母親に続き父親の介護も押しつけられそうになっている。次女は独身で何度か起業しているようで忙しそう。
クリーニング会社はこの老人が得意先ではあるけれど、清掃以外の仕事もしていたり、必要でないのに毎日のように清掃に行くことに疑問を感じている従業員もいる。
その老人の前に若い頃の姿の妻が現れる。

一人暮らしの老人宅、と家を出た兄弟、清掃に出入りするスタッフという軸で展開する物語。両親の介護はワタシにとってはまだその実感がない物語だけれど、そろそろと現実が近づきつつあるリアリティ。

子供の世話にはならないと頑固にはねのけて一人暮らしをしている老人、子供たちの心配、スタッフたちの心配。立場は違えどそれぞれが優しく見守っている人々というスタンスはこの世界で一貫していて、実に優しい物語なのです。もちろん現実問題として介護を続けることの辛さやそれを回避することの後ろめたさ、騙されているかもしれない疑心暗鬼などいくつもの現実を織り込みつつではあって、細やかなディテールなのです。

もちろん現在だって不幸ではないけれど、妻を亡くし一人で暮らす家は広く、この父親にとってもっとも幸せだったあのころを思い出すこと。それは花火であったり、シャボン玉の光景であったり。 わりと淡々と進む物語をどう終うのかと思っていたら、大雨、台風のシーン。老人がビニール合羽にビニール傘で風に向かう一瞬。ごく短いこのシーンの凄みもさることながら、そこで世界が転換して、老人は施設で記憶もおぼろになってきて。その施設の清掃業務を請け負うために訪れたスタッフが、なじみと思った顔を見つけて挨拶しようとするも、認識されないことを感じるシーンの切なさ、そしてスタッフは前を向いて進むという終幕。

正直にいえば、物語のスケールに対して役の数がやや多い感じはあって、ディテールを増してはいても物語にあまり関与しない人物があるのは少々もったいない感じもあります。

老人を演じた三田村周三の自在さ。優しかったり頑固だったり クリーニング会社に再雇用された年かさの男を演じた丸尾聡はちょっといい。元教師という属性はちょっと絶妙で、強くあらねばならない社長が弱みを打ち明けられて人物の深みをつくることに寄与しています。

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