【芝居】「落ちるな中学生」FunIQ
2017.10.27 19:30 [CoRich]
105分。29nitiまでito M studio。
中学生の女子たち。イケてる二人とダサい五人で親しくなかったが修学旅行で告白しフられたことをきっかけに仲間になっていく。 健康診断の恥ずかしい気持ちだったり、三者面談に親が来て照れくさかったり、どこの学校にいくのか、何をしたいのかここで選ぶことは将来にわたって重要だといわれても。
リングというには余りに低く、簡単にまたげるぐらいに低く四角に組まれた鉄パイプ。いい歳をした男性の俳優たちが演じる中学生女子。かわいらしさよりは少々グロテスクだったりはするけれど、芝居が進むうちに見慣れてくるのがちょっと不思議な体験なのです。
モテてるグループと、ちょと幼くダサいグループ。もうこの年齢でも可愛い可愛くないが明確にモテとか友人関係に強く関係し始めるのもまた事実という微妙な年代。とはいえ、スクールカーストの話かと思うとそうでもなくて、中学生という設定が絶妙で高校生ほどスクールカーストが固定しておらず、異質なグループでもまだ溶けあるようなぎりぎりの線を描くのです。
男の医者が身体測定に立ち会うなんて信じられないという潔癖さと、でもちょっとイケメンだよという盛り上がりの少し背伸びした感じ。あるいは初めての告白と失恋という場を共有して強くつながり。彼女たちにとっては奇跡のような瞬間で、グループになるとはぜか発生する同調圧力、違和感を感じてそこを去るものもいて、グループの形が徐々に変化して。そこで最後に残った数名は早送りのように急速に歳をとりみな死んでしまい、しかしその先もあるかも、というのはちょっとファンタジーかもしれないし、そこまで拘束しなくてもよかったかもしれないという言葉もちょっといいのです。
中学生に聞いたわけではないだろうけれど、ライターの仕事も増えている作家が女たちに続けているインタビューの、もしかしたらその奥底にこっそり眠っているそれぞれの「女の子たち」の存在を感じ取り、造形しているのだという気もします。当事者たちにとっては、あるあるかもしれない様々のディテールを、あえて男たちが演じることで相対化というか、客観的に物語として見えるようになるということも巧いなと思うのです。
一部の会話で、しゃべる言葉とは別に、喋り手も聞き手も心の中にしまって発しなかった言葉を紙にして張り付けるのはちょっとおもしろくわかりやすい。ここまで親切に語らなくてもいいとは思うものの、そのときのそれぞれの役者の表情のコントラストもおもしろいのです。
男子中学生を演じた貴瀬雄二、可愛らしくシャイな感じも美しく、ぐぐってみればイケメン俳優。なるほど。ちょっと凄いもの観た、というぐらいに印象的。姉を演じた立川せりかも美しく、女子高生という役らしくちょっと年上のお姉さん感、ちょっと色っぽく。
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