【芝居】「アレルギー」「日曜日よりの使者」feblabo
2017.11.03 19:00 [CoRich]
いしのまき演劇祭向けのツアー企画、出発前に東京での上演。 二本立て。4日までシアターミラクル。そのあと石巻。90分。
アルバイトの男女が別の喫茶店で待ち合わせる。いままでいいことが無い人生だった女は男からの好意が嬉しいが信じていない。しかし、どうしてもひとつだけ、「手をつなぐ」ことだけはできないのだと言う。男はそれがとても楽しみなので納得できない「アレルギー」(作 米内山陽子)
喫茶店に迷い込んだ老人は自分が誰で何処に住んでいるかも記憶はぼんやりしている。いろいろな香りから徐々に思い出すものがあって「日曜日よりの使者」(作 竜崎だいち)
「アレルギー」は2014年feblaboでの上演を観ています。
を観ています。ワタシの座った席でからはほぼ女性側の表情だけがみえるような位置。わりと座ったままのシーンが多く、拗らせた人格に造形された表情のさまざまが楽しく、ちょっと切なくて。
シンプルなワンアイディアで押し通す話だけれど、あえてタイトルのアレルギーと言う言葉そのものは使わず、男性を信じられないぐらいの抑えた言葉にとどめているのが上品な感じ。その先はいいと云われているのに、手をつなぐことにこだわる男の側の事情もまたコンプレックスの手汗という要素。同じコンプレックスの要素だけれど、男は克服を、女はそうなる事態を避けたいという方向の違い(コンプレックスがそもそも異なるのだから男女の差ではないけれど)が、手をつなぎたい、つなぎたくないという対比になっていてきれいにまとまっています。
日曜日
女はもっと先も嬉しいが、したことはないからどうなるかは実はわからない。拗らせてる。一度は過剰な反応だったが、アルバイトを辞めるという女を説得したくて男はもう一度呼び出す。男は自分の臭い、汗を気にしている。アルバイト先でも避けられていると思っているが、この女だけは普通に接してくれるのが嬉しい。だから付き合いたい。女は付き合いたいという。
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「日曜日〜」は、痴呆が始まっている老人の記憶が呼び戻されるきっかけ。コーヒーの香り、ポテトの匂いなどから女の子への告白、バカをやり合う友達とのくだらない日々、辞典の香る図書室。年齢が高校生から中学、小学生とさかのぼりつつ描かれる回想の日々。その先に思い出したのは、たぶんもう忘れていたけれど、あの時に失われた幼い命の存在。自分の心の中にわだかまっていたであろう人の存在が、尽きつつある老人の寿命に寄り添う優しい瞬間。物語そのものは最後の一つの回想がつながるだけなのだけれど、思い出せなかった奥底の記憶にたどり着く課程を見せている、ということなのかもしれません。
正直に言えば、繰り返される老人のシーンと、それぞれの年齢なりの回想のシーンの行き来でいちいち衣装やカツラの転換に手間どってしまってリズムが寸断されうのは惜しい。口調など役者の力を信じてせいぜい小道具一つぐらいでスマートに行き来して欲しいところ。 この回に設定された手話通訳の手法にちょっと驚きます。手話通訳。それぞれの人物を演じるように、表情を作ります。台詞だけではなくて、聞く側の無言、心の中の疑問符やとまどいが明確に表情になるのはちょっと面白い。実際の登場人物の表情よりももっとストレートに秘めたる感情を描くのは踏み込みすぎともいえるけれど、これはこれで面白い。 手法としては落語みたいな楽しさもあるのです。 -->
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